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千堂srde
突然だけど、オレの好きな人はよく自分の家に人を招く。
彼女は両親共に海外で仕事をしており、年に一度帰ってくればいい方だ。その寂しさからか、彼女は良く話す場所や行く宛ての無い時に自分の家に来ないか？と提案する。
それが、ある日突然パッタリと無くなった。
と言っても、彼女が一度学校に来ない期間があったのだ。その時は半間とよろしくやっていたらしい。
そして高校に上がって、彼女は優等生になった。
いや、たしかに前からずっと優等生ではあったけど、それでも入学式で新入生代表を務めたりするほどではなかったし少し不思議だった。
どうしてそこまで頑張るのか。
それは、彼女を目で追うようになってから分かるような、分からないような気がしていた。
もしかしたら、両親に頑張りを見てもらいたいんじゃないかとか、色々な理由を考えてはみても結局はどの説も想像の域を出なかった。
彼女を目で追うようになってから、良いことも悪いこともたくさん気がついてしまった。
高校に上がってから数ヶ月経って、またパッタリと人を自分の家に招くことがなくなった。久しぶりに行きたいな、と言うとやんわりと断られてしまうのだ。
どうしても、家には来て欲しく無いらしい。
そして、周りの人が気づいているかどうかは知らないが、ずっと見てるから、目で追っているからこそ分かることも増えた。
きっと、その家にいるのはアイツだろ？
以前のように明らかな牽制とも取れるような痕は見なくなったけど、彼女が時折うっとりとしたような眼をしていたり、表には出さないけど体が辛そうにしていたり、話し掛けてもぼーっとしていて聞こえてないようなことが増えた気がする。
事情を知ってるタクヤに言ってみると、アイツも俺と同じことを感じていたという。
まるで自傷行為をするように、彼女は自分の身体を預ける。恋人でもない男に、だ。
前は別に悪いことじゃねえと思う、と一丁前に言ったけどやっぱり嫌なものは嫌で男の影を感じるとつい苛立ってしまう。
千堂「A、今日放課後久しぶりに遊び行かね？」
『あー、うん。いーよ。どこ行く？』
千堂「カラオケとかどうよ！今日駅前で割引券貰ったんだよね」
『いいね、カラオケ行こう！』
けど、決して付き合いが悪いわけじゃない。
前に言った、武道に言ったのと同じようにAにも大事に思う人がいるってのは多分わかってるんだと思う。
千堂「(なあんか、やるせねえ。)」
なあ、A。
Aは、どうしたらオレに振り向いてくれるんだ？
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作者名：HAL | 作成日時：2023年7月8日 22時
