実らない恋 4 (ページ26)

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「体だいじょぶ？」

『やさしいね、不思議。』

「俺だってやさしい時は優しいぜ？」

外が暗くなり始めた頃、布団から出たくないと言った私にそんな優しい言葉を投げかける。

さっきまではあんなにイジワルばっかりで、食べられちゃうかと思った。ってことは秘密にしておく。

『……ねぇ、修二くん？』

「ん？」

『私さぁ、告白しようかな…って思ってて』

「オレに？」

『違うよ』

「なんだァ、違ぇの。」

頑張って体を起こしてベッドに座る私と、向かい合うように立ってる修二くん。手にはホットミルクを持っている。

私が飲みたいとワガママを言ったら、作ってくれた。

「花垣かぁ……花垣なぁ…。」

『なによ、そんな顔しちゃって』

「わざわざ振られに行く訳？」

『そ、そうなるね……。』

「なら行かなくても良くねえ？」

『でもね、私決めたの。

小さい頃からさ、ずっと隣にいたって言ったじゃない？ほらお家も隣だし。
それでずっとずっと一緒が普通だったから、今更分からなくなって。
でも好きだっていう気持ちはどんどん大きくなるばかり。』

心の中に重なるモヤモヤを1つずつ取り除くように言葉を紡ぐ、頭を撫でながら聞いてくれる彼に甘えて。

『この前ね、私……告白されたの。

返事はいらないけど、私にも私のことを大切に思っている人がいるのをちゃんとわかって欲しい、って言われた。
今の私は色んな人に不誠実だから、彼が私に言ってくれた好きにもきちんと向き合いたい、そう思うようになって。

修二くんからもちゃんと卒業するの。』

「……俺から卒業？出来んの？」

『するの、いつまでも甘えたままじゃあダメだから。
だからまず、私の恋を終わらせるんだ。』

「終わらせなくてもいいじゃん。
Aちゃんはさ、今こうやってのんびり俺と過ごす時間が1番幸せなんだから。」

『そうやって修二くんの甘い言葉ばっかり聞いてたら、ホントに自立できなくなっちゃうからダメ』

「……そっか、なぁんか大人になっちまったな。」

あ、やだなんか悲しくなってきちゃった。
恋を"終わらせる"だなんて言ったから、嬉しい記憶と悲しい思いがどんどん溢れてくる。

『ひとつだけ、お願いしてもいい？』

「なんなりと」

『ちゃんと恋を終わらせてくるから、その時がきたらまた前みたいにその指で、あたしの涙を拭ってくれる？』

「……さぁね。」

私がズルいの、分かってるよ。

修二くんの想いも知らないフリしてる。
貴方がどれだけ私のことを大切に想ってくれているのか、本当は分かってるはずなのに。

けどね、やっぱり貴方にはとびきり甘えたいの。