実らない恋 4 (ページ24)

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昨日は大変だった、自分のためにゆっくり休める日を作ろうとしたところにルナちゃんを発見したんだから。

あんな子がひとりで外に出ていると言うだけで、声をかけないという訳には行かないのだ。私の性。しょうがない。

おかげさまであの二人から美味しかったという言葉と共に、満面の笑みを貰えたからもうなんでもいいやって感じなんだけどね。

『(明日こそ、一日中寝てしまおう。気の済むまで寝て、起きたら夕方で…)』

ベッドに横になり布団を顔の近くまで被る。

最近は暑くなり始めたから直ぐに抜いじゃうかもしれないけどそれでもいいや、フカフカだし。

そんなことを考えながら眠りについたのが大体夜の10時ぐらい、その日は窓の向こうに星がよく見える夜だった。

起きたら、窓の向こうはすっかり明るくなっていた。

そして、思っていたより暑さを感じる。なんというか、ちょっと暑苦しいっていうか。

「おはよぉ」

顔を上げようとすると、後ろから懐かしい声が聞こえてきた。

ガバッと効果音がつきそうな勢いで体を起こして、その声の主をみる。いや、見ようとした。

『うごけない…』

「ゆっくり寝ちまおうぜ」

『ねえ、修二くん……だよね。』

「さぁな」

『なんでそんなこというのよ、その話し方はどう考えても修二くんじゃん。』

久しぶりに聞いたその声も、低くて心地いい。
それに声色はとても優しくて、また前みたいにドロドロに溶かされてしまうような気がした。

『どうしていきなり来たの、連絡もなしに。』

「気分」

『……そっか』

私は、たったの一言で貴方をまた失いたくないから賢いフリをするの。ここで踏み込んだらだって、きっと次に目を覚ました時にはいなくなってしまうから。

『何か食べたいものある？』

「今はいいや」

『うん、分かった。』

「Aちゃん、好きな男でも出来たか？」

『どしたの、いきなり。』

「知らねえ服とかアクセサリーが増えてんな、と思って。」

『私だってオシャレするんだよ？他は貰い物だけどね』

「誰のためのだよ、花垣か？」

『うーん、強いて言うなら私のためかな？』

そう、だっていつでも最高に好きな私でいたいから。

武道にせよあっくんにせよ、蘭さんにせよ修二くんにせよ。相手が誰であろうと、その時に隣にいる自分は好きな自分がいいじゃない。

『今日は甘えたさんなのかな、修二くんは。』

「ばはっ、甘えたいのはAちゃんだろ？」

そう言って、私の体を抱き締めていた体勢からぐるっと周り馬乗りになる。

長い長い一日が始まってしまいそう。

けど、好きな時間だ。