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その日は、それはもうとても良い気分だった。
まるで酔っ払っているんじゃないかというぐらいに気分も足取りも軽く、なんならスキップしてたと思う。
そう、一本の電話があるまでは。
『もしもしぃ、』
お風呂をあがってからすっかり気持ちの緩んだ私は、着信相手を全く見ずに電話を取る
「お、今日はワンコールで繋がった」
『……げ、』
「まーまーそう怒るなって。
今日は災難だったなぁ、同じクラスの奴に勘違いされたって？」
『な、なんで知ってるんですか』
「俺さ、コネが色んなとこにあるんだよな」
まあたしかに、彼らは同世代の人たちだしどこかから耳に入ってもおかしくない話では、あるけど。
「いやぁ、こっちから呼びつけたけど迷惑かけたな。
けど明日からは普通に過ごせるはずだぜ、手回しといたから」
明日からは気にせず過ごしな、って初めて会ったときのことを思い出す話し方が電話の向こうから聞こえる。
手を回した、ということがどういうことなのかは聞かないことにした。だってちょっぴり怖いもんね
「あんまり深いところまでペラペラ話しすぎちゃうと、オトモダチの心配までしなきゃいけなくなるから注意することだ。」
最後にそう一言告げられ、電話は切れた。
もう関わるなということなのかな、それは私の分かることじゃない。けど周りの心配をしなくてはいけなくなるというのは困る。
『(言う通り、関わらないでいますよ。)』
そしてドキドキしながら行った翌日の学校は、ありえないぐらいにいつも通りだった。
誰も昨日の写真のことを口にすることはなく、あの出来事は無かったんじゃないかと錯覚してしまうぐらいに誰も触れなかった。
ただ、日向と以前のように仲良く話すことが出来ることだけが、その出来事があったと言うことを私に強く知らせる。
『(一体貴方はどう手を回したんでしょうねぇ)』
入学当初と比べると、少し難しさの増したテストも解き終えて時間が余った際にそんなことを考えていた。
放課後、許可は予定がない日。
強いて言うなら、予定を無くした日だろうか。
女の子なら誰でもわかるであろう、月に一度来るあの忌々しい1週間。
そろそろその初日に差し掛かるために、私は一人でいる時間をたくさん作る。
人といると体力や気力使うし、だって疲れちゃうし。
それにイライラが原因で人に当たってしまって、結局嫌な気分になるのは私自身だから。
そういう時は自分で自分を思いっきり甘やかしてあげるの。
「白玉あんみつお持ち致しました！」
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作者名：HAL | 作成日時：2023年7月8日 22時
