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『私は暇だったので良かったんですけど、本当になんでここに連れてこられたんでしょうか』
「俺が、一緒にいたいな〜って思ったから。」
『わ、それは…なんというか、』
蘭さんと知り合ったとき、私は彼のことをあまりよく知らなかった。蘭さんについてもうちょっと知ったのは関東事変のとき、六本木のカリスマとか呼ばれてて、私は肝が冷えました。
『あの、たい焼き食べてもいいですか？』
「いーよ」
凄く気まずかったのはそれだけじゃなくて、私がたい焼きを食べている間、ずっとこちらを見てるんだよね。
『な、なんか付いてますか…？その、クリームとか。』
「んーん、付いてねえよ。」
蘭さんイコール三つ編みのおさげ！ってイメージが超強いから、今の短髪だとホントに別人みたいで怖いかも。
ただのカッコイイ男の子にたい焼きを食べてる様子を見られてるって、字面凄いことになってるだろうな。
『美味しかったぁ〜！』
「良かったね、Aちゃん」
『はい、ありがとうございます！』
「じゃあ次は俺の番ね」
言うのが早いかどうか、ビックリした直後に私の視界に広がるのは天井と美形。
『ま、え、あ……らんさんっ、？』
「ん？」
『なん、でしょう……』
正直に言ってしまえば、聞かなくても分かる。
何がしたいのか聞いたのではなく、これからすることへの確認の方が近いかも。うわぁ、嫌な女だ。
「俺ね、次にAちゃんのこと見つけたらぜってえ喰おうと思ってた。」
『う、わっ』
「男ばっかでうぜぇ場所だったし、溜まってんだわ。」
『やめてっ、』
形だけの拒否になる。貴方はどうせ辞めてくれる訳もない、でしょう？
「俺さ、前に忠告したよなぁ、Aちゃん
男の家にノコノコ着いてきちゃダメだよって。」
分かるの。だってね、あの日の修二くんと全く同じ瞳をしてる。
菫色の瞳がどんどん大きくなってくるのが怖くて、私は目を瞑り、口を固く結んだ。
『い"っ、』
「口、大人しく開けた方が身のためじゃねえ？」
『い、やっ……ごめんなさいｯ』
「謝っても別に辞める気ねえかんな、俺。
グズグズに解したら、ちゃあんとベッド行こうな♡」
さっきのはちょっと訂正しよう。
灰谷蘭は、恐らく修二くんよりタチが悪い。
『あ"あ"あ"っ、？！も、やだ！！嫌ですっ！』
「ん？まだ行けるよなAちゃん」
『もう、無理ですっ、〜〜ッ！』
流れるような手付きで服を脱がされ、今は一糸まとわぬ姿。恥ずかしさとか怖さとか、最初はそういうのも感じてた。
けど、蘭さんは情けも容赦もなくて、私が泣いても辞めてくれなかった。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年7月8日 22時
