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『「お疲れ様でしたー」』
バイトを無事に終え、もう随分と暗くなった道を千冬と並んで歩く。
「甘いもんって、何食いてえの？」
『迷うね、なんだろう』
「コンビニ行くか」
時間は、大体夜の21時を回ったところ。
友人たちと一緒に行くようなカフェやショップは閉まっていたり、閉店の準備を行っているところがほとんどだ。
『あ、これおいしそう』
「つか何処で食うの？」
『公園？近くにあったよね』
「まーいっか、俺これにしよ」
お互いに食べたいスイーツと飲み物を買ってコンビニを後にする。そして次の目的地はいつもの公園だ。
『……最近、みんな何してんだろ』
「みんなって？」
『龍宮寺くんとか、佐野くんとか。
千冬とか武道は同じ高校だし分かるけど、高校分かれちゃった人たちはもう接点ないし。』
何人か会ってる人はいるのだ、柴くんとか三ツ谷くんとか。
けどね、佐野くんの話を出すとみんな暗い顔をする。
松野「あ！そういえばドラケンくん、イヌピーくんと一緒なバイク屋さんやってるらしいから明日の放課後にでも行くか！」
『出た、計画性の無さ』
松野「ハァ？！会いたいっつったのAだからな！」
『まあ言ったけど………うん、確かに明日予定もないし行こうか』
龍宮寺くんなら、佐野くんが今何をしてるか知ってるのかな。
ただ気になるっていうのもあるけど、エマのことであれからしっかり話した記憶があんまりなくて。それに、美味しい和菓子屋さんを見つけたから一緒に食べたいな、と考えてるんだ。
松野「じゃあ、明日は放課後掃除終わったらスグ行くぞ！」
『あ、明日掃除の番？やだなぁ……』
なんてことない日常なんだけど、やっぱりこんな1日が無いときっと壊れちゃうね。
『じゃ、送ってくれてありがと。また明日ね！』
「おー、また明日！」
なんだかんだ今になると千冬も長い付き合いだし、それに濃い付き合いだと思うし、これからずっと、大人になるまでこんな関係が続けばいいなと漠然と思っていた。
まあ、千冬とは本当に長い付き合いになる。
けどそれはまた別のお話。
私はいつもの通りたまっていた課題を済ませ、早々に寝る支度をした。
いつもと違ったのは、非通知からの着信。
ちょうどお風呂に入っていたタイミングに掛かってきてたみたいで電話を取ることができず、誰からの着信なのかは分からなかった。
『また掛かってきたら出ればいっか、今日はゆっくり寝よう。』
昨日や一昨日のことが嘘のように、まるで夢だったのかのようにぐっすり眠ることが出来た。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年7月8日 22時
