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私が稀咲くんを思い切り殴ったことで、ちょっとだけ静寂が訪れる。みんな驚きすぎて動きを止めたのだ。
けどただ1人、私のやったことに笑ってる。
「ばはっ!Aチャン、どーしたのいきなり。」
ニコニコしながらこっちに歩いてきて、1歩1歩と私との距離を縮めていく。あぁ、この感覚は覚えてる、初めて会った時と同じだ。
稀咲「ッ、何しやがる!!!」
半間「Aチャンさぁ、どういうつもりかな。
オレ、大分優しくしてきたつもりだぜ?」
私が殴ったことでズレたメガネを元に戻し私を思い切り睨みつける稀咲くんと、今にも襲ってきそうな目で私の腰を抱く修二くん。どちらも、違う怖さがある。
『あ、……っぁ、ごめ…なさっ』
半間「今度は、ちょっと乱暴する?」
稀咲「おい、テメェら。
勝手に2人の世界に入ってんじゃねえ。」
思っていたよりも落ち着いたトーンの稀咲くんのお陰で、私にも冷静さが少し戻ってきた。
けどその冷静さもまた、
稀咲くんが話し始めると、唇どうしが触れてしまいそうな距離にいた修二くんは私の後ろに回って頭の上に顎を乗せていた。
それでも片手は前からまわってて、前開きの服から、その中へ手を入れようとしている。そしてもう片手は頬や耳のあたりをなぞる。
稀咲「確かにオレも説明を何もしていなかったし、お前にも納得いくような話をしねえとな。」
あれ、なんか…
稀咲「悪かったよ、お前を利用するような真似して。」
半間「Aチャンもさ、今の本気じゃねえもんな?」
耳元に聞こえるねっとりとした声が、頭の中でグルグルしてる。
やだ、この変な感じ……
稀咲「ただ、一発は一発だろ?」
意識の外の方で人と人のぶつかり合う音だとか、人が人を殴る音、蹴る音、コンテナにぶつかる音、色んな音が聞こえてきた。
あ、イザナさんが戦ってる……一方的だ。
稀咲「お前が、これを一発撃ち込んでこい。」
『……ぇ、』
ズシリと重たいそれは、普通に生きてたら一生見ることはないんだろうなって思うもの。想像の中よりも重量がある。
半間「Aチャン、出来るよな。」
『でき、ない……むりだよ、』
さっきまで耳朶をなぞっていた左手が、スススと伝って首までおりてきた。一気に息がしづらくなってしまった。
『しゅ…じ、くん……』
文字通りに息がしづらいのだ。私の首に回された手は、容易に私の命を途絶えさせることが出来る。
今、私の生死は
『でき、ないのっ』
終いには、涙まで溢れてきてしまった。
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ゆり(プロフ) - とりあえず、半間夢にしたいならそう書かないと詐欺になって通報されちゃうので気をつけた方が良いかと…もし何か夢主に考えがあるとしても、軽くでも前置きしとかないとすぐに通報しちゃう人もいるので気をつけてくださいね。長々と偉そうに失礼致しました。 (10月25日 0時) (レス) id: c94ec56f23 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - これのどこがあっくん夢なんですか?どう見ても半間夢なんですが…しかも夢主、ころっころチーム変えすぎて感情移入出来ないどころかイライラしてきます…前半かなり面白かっただけに今更の半間夢にショックデカい… (10月25日 0時) (レス) id: c94ec56f23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HAL | 作成日時:2023年6月20日 23時