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沢北 side
久しぶりのAとの再会だった。
電話こそしていたけれど、こうして会って話す時間はやっぱり幸せで。
Aは長かった髪をバッサリと切り大人っぽくなった。
髪を切った理由を聞けば悲しそうな顔をして理由は伏せて、時々ぎこちない雰囲気になる。
「俺と一緒に、アメリカに行こう。」
今年の夏、インターハイが終われば、俺はコーイチさん、つまりAの父さんと一緒にアメリカに行く。
いわゆる、バスケ留学だ。
当然のようにAは俺たちに着いてきてくれるモンだと思ってた。親父とオレが行くんだから。
でも違った、Aは自分の生活があるから、と首を縦には振らなかった。
「俺はこんなにもAのことが好きなのに。」
彼女も、すっかり俺に収まるようになってしまった。
少し強引になったけどAを組み敷いて、自分の欲のままに動いた。
『……ぇ』
小学生の時、コーイチさんの仕事の都合でAが転校して暫く会うことはなかった。
中三のときにこっちで再会して、高校は同じ場所に行くんだと、当たり前に思っていた。
"『高校？私山王には行かないよ…？』"
当時から最強と謳われる山王でAとバスケをすること、それが俺にとって何よりも大事なことだったのに。
"『三井寿サンって言うんだけどね、凄くカッコよかったんだよ〜！！
あの人も湘北高校に行くって聞いたの、私も絶対に湘北に入るんだ！』"
俺には絶対に向けてくれないじゃん、そんな顔。
誰だよ三井寿って、ソイツは俺よりすごいプレイヤーなのか？
それが、Aに対する1番大きな疑問だった。
俺の方がソイツより弱いからAはオレと一緒に来てくれなかったんだ、いつからかそうやって思っていた。
俺の中にすっぽりと収まっているA、好きの意味もまだ通じてないんだろうな。Aは、昔っから自分に対しての好意には疎いから。
可愛くて、俺の一番大切で、素敵な宝石みたいな女の子。
「A、大好き。」
ｺﾝｺﾝ
突然の来訪、やって来たのは深津さんだ。
「も〜、何スか深津さん！」
深津「コーチから伝言ピョン、Aに変なことしたらお前でも許さん。」
「げ、ってか！何で深津さんに言うんですかそれ！
俺に直接言やいーのに。」
深津「知らないピョン。
あの子バイクで半日かけてきたって聞いたピョン、しっかり休ませてやるピョン」
「はーい」
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作者名：HAL | 作成日時：2023年2月3日 2時
