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「コーイチさんのとこ帰んなくていいの?」
みんながミーティングをしている間彼らを待ち、そのあと私は栄治の部屋に泊めてもらうことにしていた。
父の所じゃなくて自分のところで良いのか、そんなことを聞くが今日は絶対に父さんの所には行かないと強く決めている。
『父さん、今日友達とお酒飲むって言ってたから行きたくないの』
そう言うとあー、たしかに。なんて笑って言う
沢北「Aなんか変わったな、大人ンなった?」
『それ言うなら栄治だって、まさか栄治が坊主になってるとは思わなかったよ』
ポスター見た時なんかはビックリしたんだよな、それを伝えるとカッコよく写ってただろ!なんてポーズを決めていた。やっぱりバカだ
沢北「坊主も似合うだろ?」
『んー、そうだね。似合ってる』
晩御飯を食べたあと風呂を終え、のんびり二人で話していた。
ついこの前も近況報告という名のつまらない話をたくさんしていたけれど、やっぱり直接顔を見て話すのだと違う。
『……』
沢北「A、こっち来て」
彼は大きく腕を広げて私を包み込む。久しぶりに会った幼なじみは最後に見た時より一回りも二回りも大きくなっていて、優しい香りと共に懐かしい思い出が蘇ってくる。
沢北「久しぶり。
ホント、会いたかった」
ぎゅうっと力を込めて私を抱き締める。
こんなことされて嫌じゃないなんて、今の私からしたら不思議な気分だった。
『あたしも、会いたかった』
「ねぇ、なんで髪切ったの?
オレAのキレーで長い髪、大好きだったのに。」
『そ、それは…』
「まっ、まさか失恋…とか!?」
『いや、それは違うけど…』
「じゃあ何でだよぉ、俺のAのキレーな髪がぁ…」
『別に、気分だよ…』
すぐにめそめそするところとかは、昔のまんまだ。
「なぁ、向こう行ってから彼氏できたりした…?」
『してないよ』
「……良かったぁ」
『何でよ、栄治には関係ないじゃんか』
「あるよ、すっげぇある。」
『な、なんで……』
優しいんだけれどどこか圧があって、体が少し強ばる。
「俺、Aのこと大好きだもん。」
『それ言うんだったら私も栄治のことは大好きだよ?』
「違うよ、そういう好きじゃない。」
気付けば後頭部にフワッとした枕の感覚と、視界に広がるのは栄治の顔と天井。
何されてるかは、スグに理解した。
『なに、言って……』
「なぁA。
俺と一緒に、アメリカに行こう。」
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作者名:HAL | 作成日時:2023年2月3日 2時