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ｻｧｱ____________
風が吹いたから、私の前に立っている洋平君の髪がなびいた。
「ねえ、何で隠すの？」
真っ直ぐな声は私の心に突き刺さる
少し遠くの方で試合の始まるを告げるブザーの音が聞こえた。
『何も、隠してなんかいない……』
声は震えて、取り繕っているのが透けて見える。
「もう分かってんでしょ、どうして見ないフリなんてするんだよ。」
『……』
「何か言ったらどう？
先輩のことあんな酷い姿にしたのはっ…！！」
『やめてっ！！！それ以上言わないでよ！』
「？！」
嫌だから、それ以上はもう聞きたくないから。
洋平君の口元を両手で覆った
『……聞きたくないの』
彼は驚いた顔をして、自身の口元に当てられている私の手をどかそうとした。
けれども一瞬戸惑って、そして今度はしっかりと私の腕に手をかけた。
「見ないフリ続けてても、何も良くならねえよ。」
『……』
「好きなんでしょ」
『な…なん、で』
「分かりやすいんだよ、先輩。」
『分かんない、何も分かんないの……』
本音ばっかり、口からどんどん溢れてくる。
彼にどんな顔をすればいいのか、どんな態度で隣にいればいいのか。
洋平君になんて言葉を掛ければいいか分からない。
見て見ぬふりをしたい訳じゃない、本当は向き合いたい。
でも、怖い。
私は独りじゃないことも、力になってくれる人がいることだってわかっている。それでも、あと一歩を踏み出す勇気がないんだ。
「俺は先輩があの人の事を好きだって言っても、応援はするよ。」
『ぇ、？』
ズボンのポケットに手を突っ込んでまた話し出す、今度はさっきと違って怖さはない。
「でもね、一度起きちまったことはもう無くならない。
だから先輩は聞こえないフリすんじゃなくて、向き合って真っ直ぐぶつかってけよ。
どうしても無理だったら、俺がいるじゃん。」
『洋平、くん……』
「俺、せっかく先輩と仲良くなれたんだ。
頼るんならもっとしっかり頼って貰いてえの、だめ？」
頭の中では都合のいい解釈ばっかりしてる、本当に私はばかだ。
『……ありがとう』
水戸「しっかり前見て真っ直ぐ歩いて欲しいのよ、Aセンパイには。」
『うん』
水戸「具合はもう大丈夫そう？」
『大丈夫、そのままコートに向かう事にするよ。』
私を襲った人達について、答え合わせの時間だ
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作者名：HAL | 作成日時：2023年2月3日 2時
