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『……洋平くん？』
水戸「えっ、な、何。どーかした？」
自分の顔を覗き込むように少し屈んでいたセンパイ
いつもは自分より上に目線があるから下からの目線に慣れず少し驚く。
『ボーッとしてたよ？一緒に帰ろ！』
「ウン」
並んで家まで送る道、特に会話は無かった。
核心をつくことは聞けないまま俺の頭の中ではあることがずっと離れずにグルグルまわっている
『明日からはまた勉強に専念しないとなぁ、』
何かを思い出したように呟いていた、聞けば少し面倒なことになってしまうかもしれないのだとか。
水戸「センパイって勉強苦手？」
『いや、苦手ってほどではないよ。
ただ、事情があって皆よりやらなきゃいけない範囲が多くてさ……』
何がそんなに悲しい顔にさせるのか、ずっと気になっていた。
けれどそれを俺たちが知るのはまだまだ先の話
水戸「センパイ、明日お昼一緒に食べない？」
もっとこの人の事を知りたくなってしまった。
『？
いーけど、どうしたのいきなり。』
水戸「いや、別に？
……俺って意外とセンパイの事知らないなと思って。
色々聞きたいことだってあるしね」
『そっか！』
何も疑わずによく澄んだ目をしてる、たまらなく守りたくなってどうにか手に入れたい。
そんな欲が出てきてしまったみたいだ。
『洋平くん、ここまでで大丈夫だよ。
まだ暗くなってないし、洋平くんは洋平くんの道で帰りな』
それでいて、時には反抗なんてまるで出来ないような感じ。一歳の壁は分厚くて、辛い。
『じゃ、また明日ね！』
また明日の返事も出来ずに、駆けていく後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
水戸「(マジかよ)」
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家
『ﾊｧ、……そっかぁ』
ため息は誰もいないこの家の中で響く
特に何があるわけでもなかった、でもあれ以上洋平くんと一緒にいたら全部見透かされてしまいそうな感じがして。
『わ、電話だ……ってまた…
この前深夜まで話したの文句言ったから今度は夕方に掛けてきたな？』
電話の相手は予想通り騒がしい幼なじみ。
早く会いたい、と言うことをひたすら聞いて、ほかは近況報告なんかしたりして過ごした。
幼なじみと話す時間はいつもあっという間に過ぎて、また昔のように戻りたい気持ちも強くなる。
『そろそろ私そっちに行くから、待っててね。』
それだけ告げて受話器を置いた。
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作者名：HAL | 作成日時：2023年2月3日 2時
