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『まあ、今日のところは大丈夫そうだったので…いいんですけどね。』
三井「ンな悲しそーな顔するなよ」
『……そんな顔してました?』
三井「おう」
『はーっ!
なんかさっき安西先生に言われたこと、ずっと頭から離れなくて。』
三井さんが私を励まそうとしてくれてるのは分かっていたけど、やっぱりあの言葉は私の中から出ていかない
三井「何言われたんだ?」
『みんなは、私が思っているほど弱くない…ですって
実際、安西先生が言うんだからそうなんだと思います。
けど、私が部活に顔を出さなかった2、3ヶ月の間でそんなに変わったのかとか、それなら今まで私が見てきたみんなって何だったんだろうとか。
私のやってきたことが否定されたように感じちゃって
……ダメですね、こんな事考えちゃ。
決勝リーグはまだ始まったばかりなのに』
三井「湊も、色々考えてんだな」
『失礼ですね、私はみんなのこと凄くちゃんと考えてますよ。』
しんみりしてしまった所で学校の正門に到着した、三井さんの忘れ物は部室にあるらしい。
授業は終わっており、下校する生徒もちらほら見掛けた。
グラウンドの方を覗けばサッカー部や野球部なんかが汗を流している。
部室に向かう途中、三井さんがまたまた思い出したように呟いた。
英語の先生は誰か、と。
質問に答えるとどうやら三井さんのクラスと同じ先生なようで、伝言を預かっていると言ってきた。
「次の授業は必ず出席すること、だとよ。」
『そーですか』
「成績やべえの?この時期で?」
『いや、そういう訳じゃないですよ。
ただちょっと面倒なことになってしまいそうな、そんな感じはします。』
三井「へぇ……お、鍵空いてる。ラッキー」
部室のドアノブに手をかけて部室の中に入った。
三井さんは荷物をおろしてロッカーの整理、私は手に持った救急箱をいつもの場所まで戻していた。
『……テーピングの量増やしといた方が良いかもですよね。』
三井「おー、そーだな
……あれ、ここ置いてったよなオレ、どこだ?」
『何探してるんです?』
ガサゴソやってる三井さんが面白くて声を掛けてみた
どうやら探し物は見つかったみたい、何やら正方形の小さめな箱だ
三井「これ、やるよ」
『……何故?』
三井「サポーター届けてくれたろ、まだちゃんとお礼言えてなかったじゃん
それに、あンとき俺のせいでスゲェ怖い思いさせたから。」
何だか見覚えのある、儚げな顔をした
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作者名:HAL | 作成日時:2023年2月3日 2時