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さてここからは後半戦、と言うことで私は観客席に戻るべくみんなとは違う方向に足を進めた。
「お?」
『おお?』
知っている声、というか既にその大きな体が見えて久しぶりに牧さんとご対面した。
1番前にいるのは牧さんだけど海南のみんながいる、大分いやだ。
「牧さん?誰スかこのヒトは。」
1年生かな、ヘアバンドに長髪の男の子が牧さんの横から顔をのぞかせる。
牧「あぁ、彼女は湊さんの娘さんだよ。」
牧さんが簡単に私のことを紹介すると海南メンバーを取り巻く空気が少しピリッとした。
「ああ!牧さんがいっつも話してる人スか!!
オレ清田信長って言います!!
俺こそが、今年のナンバーワンルーキーです!!!
絶対見てくださいよ次の海南の試合!!!」
牧「一旦落ち着け、清田。
Aが固まってるだろう。」
清田「?
……ホントだ、もしもーーし?」
私の意識があるか確認するように顔の前に手をヒラヒラさせた。
『ごめん、ビックリしちゃって(笑)
改めまして?かな、湊Aです。
清田信長君ね、知ってるよ?』
清田「マジっすか!!?
やっぱり世間がこのオレを放っておくわけがねえんだ!!ハハハ!!」
『じゃなくて、流川繋がり。
私中学は富ヶ丘だったのよ、だから流川から少し話聞いてたし』
私がそう言うと清田くんは分かりやすく肩を落とした。
もうそろそろここを離れて試合に戻りたいんだけど、清田くんは相変わらずグイグイ来ているし牧さんはもう少し話がありそうで……
私はうしろに組んだ手が震えていることを隠すのに必死だった。
「牧さん、そろそろ後半戦始まるんじゃないですか?
それにこんな通路のど真ん中にゾロゾロいても邪魔になっちゃうし、俺たちは先に中にいってますね。」
牧「あぁ」
「おい、信長も一緒に行くんだぞ。」
清田「エッ!?!オレもっとAサンと話してえッスよ!!!ちょ、神さん!!」
気を遣ってくれたのか、"ジンさん"と呼ばれた長身の彼がゾロゾロといたメンバーを連れて体育館内へ入っていった
そしてこの場には私と牧さんの2人きり。
牧「最近、湊さん元気か?」
『父さんですか?
うーん、あんまり話せてないのでなんとも……
向こうもいま県予選の時期だし、色々忙しいみたいで』
牧「そうか、久々に会いたかったんだがな。」
『伝えておきますね、きっと父さんも喜びます!』
なんて話していると、体育館内から後半開始の合図が聞こえた。
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HAL(プロフ) - ネコさん» ネコさんありがとうございます…、気づいた時めちゃ声出ました、、音で覚えてちゃ行けないですね……!!! (2023年1月28日 14時) (レス) id: dd7884e58b (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - いつも楽しく読ませてもらっています。面白いです、藤真さんのまは、真じゃないでしょうか?間になっていますよ。更新楽しみにしています。 (2023年1月28日 11時) (レス) id: 424c5bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HAL | 作成日時:2023年1月21日 19時