検索窓
今日:15 hit、昨日:100 hit、合計:21,784 hit

143 ページ4

松田「ったく、そこまで惚気ろとは言ってねえよ」


軽く額を小突かれた。
少し痛い。



「にしても、見ねえうちに大分髪伸びたんじゃねえの。」


『まあね、切ったりしてなかったし。
そろそろ切らないといけないかなって思ってはいるんだけどね。うわ、毛先の方とかバサバサになっちゃってる』

松田「切ってやろうか?」





『んー、景光に怒られそうだし遠慮しとく。』


今日も研二に買ってきた花を生けて顔を見る。

『アンタも、大分髪が伸びたんだね』




心做しか、肉付きの良かった体は細くなっており寂しさを駆り立てる。

ホントに目の前のこの(ひと)は生きているんだろうか。






松田「そういえば、班長たちは上手くやってるらしいぜ」


なんて言って私に写真を見せてくる。

有名な時計塔の下で、コートに身を包んだ二人のツーショットだ。




『そう、とっても幸せそう。』


気付けばナタリーとは友人になっていて、彼女もまた、私の守るべき人になっていたんだ。



















友人と言えば、あの子は元気だろうか。



警察学校時代、教場を移動する前に良くお話をしていた子。

今思うと、あんなに無愛想な態度をとってしまった私にいつまでも話し掛けてくれて、本当に良い子だったな






風の噂では交通部にいるのだとか聞いたけど、実際に顔を合わせた訳でもないためお互いがどこで何をしているかは分からない。






松田「そろそろ帰るかな」

『あら、もう帰るの?』



松田「生憎、俺は毎日来てるんでね」

『そんなんじゃあ恋人出来ないわよ』




松田「うるせぇ、今は仕事が恋人だよ」

『ふふ、気をつけてね。』




そう言って送り出したものの、私も今こうして研二と二人きりになってもあまり話すことは無いかもしれないな。




『いつか研二が起きて私のやっていることを見ても、怒らないでね。』





そうやって祈ることしか出来ないなんて。




ガラガラ

『お邪魔しました。』









階段を降りて一番下のフロアにある休憩スペースのようなところでアイスコーヒーを買ってみた。


『(休憩スペース(ここ)は緑がたくさんあって涼しいな。)』




なんて呑気なことを考えていた。







ガコン


「あ、れ……もしかして、梅田さんっ!?!?」







『貴方、もしかして……』



その小さなひとときは、かつての級友との再会を運んできてくれた。

144→←142



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (107 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
350人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

霜月千(プロフ) - まさかの展開で心臓バクバクで夜しか眠れません…更新楽しみにして待ってます‼︎これからも頑張ってください‼︎ (2022年7月16日 14時) (レス) @page12 id: daaa59ce20 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:HAL | 作成日時:2022年7月3日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。