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それはふとした違和感やった
俺だけにしかわからんような違和感
それでもしばらくはその正体に気づけんくて、
おかんに聞いた、章ちゃんの病気
しばらくして章ちゃんからも病気を告白された
滅多に人前で泣かん章ちゃんが子供みたいにわんわん泣いとるの見て
俺がなんとかせなあかんと思った
側におりたいと思った
少しずつ忘れていくのを少しでも遅らせてやろうと病気に宣戦布告した
あの日から1年と半年、
俺が長めの出張で家を離れとるとき両親から連絡があった
遂におとんとおかんの顔を忘れた、と
一刻も早く家に帰りたくて最後の日は夜行で家に戻った
深夜の家は寝静まって物音ひとつしない
そっと章ちゃんの部屋に入って章ちゃんがつけとる日記を開く
その日のことを１行だけでも書こうと頑張っとるのは知っとったし、
今までも病気の進行をみるためにちょくちょく見とったんやけど…
数日前から空白になっとる
最後に書いた日記は俺の名前でページが埋まっとった
背中を寒気が駆けた
日記を持つ手に自然と力が入る
一番最後まで俺の名前忘れんようにしてくれたんや
家族のだれよりも、自分よりも、俺のこと忘れんようにしてくれたんや
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作者名：夜。 | 作成日時：2018年3月1日 22時
