【実.況.者】 旦那と嫁の一週間。 【コ.ジマ.店員】

The future21 side.you ページ21

「まだ酔ってるんですか?」
「素面だよ」
「…そうですか」



手際よく包丁をまな板に落とす音が、妙に響いて聞こえた。
ぐつぐつと沸騰する鍋の音すらうるさく聞こえる。
全ての音が耳にいつもより余計に入ってきている。



「…て、ごめん。また変なこと」
「……」
「…? Aちゃん?」



私と、コジマさんの…。

…でも、たとえ今つくったとしても、ちゃんと育てていける自信がない。
こんな、まだ若い私がそんなことできるわけない。


「Aちゃん」
「っえ?」


不意に、肩に手をぽんと置かれる。
視線を上げると、いつもの笑顔のセピアさんがいた。



「マイナスなこと考えてるでしょ」
「…」
「みんな始めはそうだよ。知らないことだらけなんだから」
「…！」
「君には、コジマさんって言う頼れる人が居るでしょ?」



そっとコジマさんに目を向ける。
なぜだか、つわはすさんと言い合いになってるみたいだけど、
あの時の私を夢中にさせた彼は、少なくともそこにいた。


「…」
「…大丈夫、俺も余計なこと言い過ぎたかも知んないけど、ずっと見守ってるからね。コジマさんもAちゃんも大事な友達なんだから」
「…はい」
「うん、よし。みんなに声かけようか」



私の本心は。
彼と、見つけたい。




今夜、ちょっと頑張ってみようかな。

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