俺の彼女が狙われる理由。【ア.ブ】

Non-smoker3 ページ3

はじめは何を言ってるのか全く理解できなかった。
しかし、井上さんの一言で、また現実に戻される。



「私のことは是非梨々香って呼んでくださいね」
「…なんで」
「呼ばないと、奥さんどうなってもしりませんよ?」
「……」



目の前にいる女の子は悪魔かと思った。
そして、井上さんは静かに笑うと踵を翻しどこかへ行ってしまう。
じっと見ていると、彼女のことろで止まったのでギョッとする。


「Aセンパーイ、これ教えていただけますか?」
「え? あ、うん。えっとこれは…ひっ!」
「どうしたんですか?」



おいおい、あれはなんだ。
さりげなく彼女の肩と腰に回された手。
女同士だが、はたから見ればカップル。

…ちょっとアブさん頭が痛くなってきた。
まって、どういうことなの?
井上さんってそういう趣味なの?



「ちょ、井上さん…」
「やだなあ、梨々香って呼んでください」
「梨々香ちゃん、やめ…くすぐった…」



とりあえず、この状況をなんとかしなくては。
しきりに注がれていた彼女のsosサインにも気づいている。


よし。



「…あー梨々香ちゃん、ちょっとこっち」
「なんですかアブセンパイ」
「いいから」


彼女と梨々香ちゃんをベリっと剥がして無理やり連れて行く。
その時に見えた、安心そうな不安そうなどことなくわかりずらい彼女の顔。

…今は、この悪魔をなんとかしないとね。

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