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Non-smoker1 ページ1

彼女との結婚式が終わって落ち着いた頃。
俺たちは会社に復帰した。

久しぶりに会った上司や部下は、みんな思い思いの言葉を俺にぶつけてくれたもんだ。
まあ、心ないのもありましたとも、

あったかい職場ではあるんだけどね。






「…今日から配属になった井上さんだ。みんな、よろしく頼む」
「はい」



彼女とは、正反対のタイプの子が紹介された。
ゆるく巻いた茶色の髪と、薄化粧の愛らしい顔は男女問わず、人気を集めるだろう。

ふと、服がなにかに引っ張られた感触があり、そちらに目を向ける。
彼女の不安そうに俯く姿が目に入った。
「後輩」と、何回も呟いているところを見ると、かなりの緊張に侵されているらしい。
大丈夫、とでもいうように手をキツく握り返すと、後ろの方から冷やかしの声が飛んだ。



「…アブさん」
「大丈夫。いい子そうじゃん。優しく教えてあげてね」
「…はい」


あくまでも、ここは仕事場。
私情とプライベートは持ち込まない。だから、彼女に彼女らしい扱いをするのも、これで最後。
俺は彼女の上司。


「…ん?」



そこで、俺たちに深く刺さる視線に気がつく。
パッと目を向けると、井上さんがじっとこちらを見ていた。
まずいな、どんな目で見られただろう。初日から「はしたない部署」なんて思われたら頭が上がらなくなる。


「…じゃあ、アブくんとAちゃん。指導お願いね」
「あ、はい」


急に前のめりになった彼女は、新しいおもちゃでも与えられたような顔で返事をする。
「夫婦初の共同作業かー」なんて声もちらほら上がるが、気にしない。

どちらかといえば、コイツらの方が私情と煩悩を持ち込んでいる気がする。

Non-smoker2→



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@(SARA)(プロフ) - こちらの小説に関係ないコメント失礼します…ABさん詰めのパスワード教えてくださいませんか? (2016年5月28日 9時) (レス) id: 837f1b14f6 (このIDを非表示/違反報告)
雨玉(プロフ) - お疲れ様でした!アブさんかっこいいですよね!w面白かったです!これからも頑張ってください!! (2015年8月31日 1時) (レス) id: dc6f49623c (このIDを非表示/違反報告)
あさぴよ。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!前作から見させてもらってます!!他の作品の更新頑張ってください!! (2015年8月30日 23時) (レス) id: 807984c1af (このIDを非表示/違反報告)
小夜乃(プロフ) - 石田丸さん» ありがとうございます!次回作も読んでいただけますと嬉しいです(**ω**) (2015年8月30日 13時) (レス) id: 60d59de54f (このIDを非表示/違反報告)
小夜乃(プロフ) - みずいろPさん» ありがとうございます(*'-'*) そう言っていただけるととても嬉しいです(●・v・○)ノこれからも頑張ります! (2015年8月30日 13時) (レス) id: 60d59de54f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜乃 | 作者ホームページ:http://uranai  
作成日時:2015年8月9日 21時

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