episode05 ページ7
あの日は結局、九条天からアイドルの話をずっと聞いていた
キラキラ輝いているアイドルの裏側
正直、大変そうだと思った
ぼくは自分の席につくと、一つため息をつく
だめだ、疲れた
「 おいおい、まだ昼だぞ〜。午後授業もあるのに、大丈夫か？」
「 …蒼太 」
ぼくがモデルなんて、出来るのだろうか
バレたらどうしよう
ぼくは、弟にはなりきれない
ぼくは、モデルを知らない
「 あの…ｯ 」
「 そう言えば昨日の夜電話来てさ！お前受かったて！面接あるから、ここに来てくださいって 」
蒼太はそう言って、住所の書かれた紙を差し出してきた。断れるわけない
ずっと、頑張ってるんだ。蒼太は
「 まじか、うわ〜 」
「 まあ清なら余裕で本面接受かるだろうな！」
明るい笑顔の蒼太
ずっと、苦労してるのになあ
「 蒼太は凄いな 」
「 ん？」
「 ずっと、笑ってるから 」
蒼太は、黙り込んでしまった。
何これ、気まづい
ぼくは窓の外に目をやった
ふと、人影が見える
「 清、何かあっ… 」
「 帰る 」
「 は？」
蒼太の言葉を遮って、鞄を手にして立ち上がる
「 今日はもう早退するって先生に伝えといて 」
「 ちょ、待て待て。何があったんだよ 」
「 …じゃあ、また明日 」
ぼくは蒼太に背を向けて、教室から走って出た。廊下で先生に怒られて、女子がうるさくて。
階段を駆け下りて、息が上がって
靴を履いて昇降口を出れば、校門へそのまま突っ走った
「 …っは、はあ…先生っ、何で居いんの！」
その人は、スマホから顔を上げてこちらを見た
「 授業は？」
「 ぼくの質問に…っ 」
「 授業、出なくて良いの？」
有無を言わさない感じ。苦手だ。
「 …良いよ。次、数学だし。いちばん得意だよ 」
「 そう 」
九条天は、何か考える素振りを見せて、ぼくの手を掴んだ。
温もりが、手から伝わってくる
何、これ。
「 着いてきて 」
「 は？ちょ 」
「 車待たせてるから 」
九条天は、ぼくの手を引いて歩き出した
扉の開かれたタクシーに、ぼくを押し込む
「 ちょ、何すっ 」
「 キミに、見せてあげようと思って 」
「 は？」
九条天は、そのまま何も言わなくなった
ぼくも、そのまま、黙り込んだ
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夜乃ツキ(プロフ) - たばねさん» 応援ありがとうございます！ (2019年1月19日 23時) (
レス) id: afb473d78d (このIDを非表示/違反報告)
たばね - 頑張ってください！ (2018年9月29日 17時) (レス) id: 42ec3060fa (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - moriamiさん» コメントありがとうございます。まったり過ぎるとは思いますが、そう言って頂けると幸いです。今後とも頑張りますので、応援の程よろしくお願いいたします。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花さん» ありがとうございます。お褒め頂けるとインスピレーションが湧きます。( 此奴 )頑張りますね。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
moriami(プロフ) - これからも、まったり更新待ってます！ (2018年7月28日 21時) (レス) id: c093c53a69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜乃ツキ | 作成日時：2017年11月26日 22時
