episode27 ページ29
どうしよう。
かれこれもう20分はコンビニでウロウロしているぼく
「 何が買いたいの、早くして 」
「 や、やっぱりやめとく 」
「 は？」
ああ、もう。九条天の目が怖い。
そりゃあそうだ、疲れてるのに気遣ってついてきてくれたのに。
もう、腹括るしか
「 わかったよ 」
渋々、消耗品の売り場に行く
コンビニだから値段も少し高いし、種類も少ないけど。背に腹はかえられぬって言うし
「 ボクの使えば良いじゃない。嫌だった？」
と、ぼくが選び始めたら九条天が眉を下げてそう言ってくる。違うのに。
「 い、嫌じゃない 」
「 じゃあどうして 」
「 それは 」
別に、気にすることじゃない。普通に言えばいい事なのに、なぜか言葉が突っかかる。
「 … 」
バレたくないと思うのは、何でだろう
「 ボクには言えない？」
「 ちょ、ここコンビニ 」
九条天が、ぼくの手首を掴んで引き寄せた
「 ボクの質問に答えて 」
「 何でそんな事聞きたがるんだよ 」
別に、自由にしたって良いじゃん。
「 …知りたいと思うことは、ダメな事？ 」
「 っ 」
何でそんな捨てられた子犬みたいな目で見るんだよ。この野郎。
「 先生の！」
「 ちょっとここコンビニだから声… 」
さっき、ぼくが言った台詞を九条天が言う。
あんたはさっき気にしてもいなかったくせに
「 弟は、嫌だ 」
ぼくの言葉に、目を見開く九条天。その後、すぐに無表情になって「 そう 」とだけ言った
ああ、何か言ってしまえばスッキリしたな
「 もういい？」
ぼくが九条天に問いかけても、九条天は何も答えなかった。ただ、何か考え事をしているみたいで
ぼくはそんな九条天を放っておいて、やっと選ぶことにする。
「 …いい匂いするやつ、どれだ 」
ぼくはお試し品の匂いを嗅ぎながら選ぶ
九条天は一番、どの匂いが好きなんだろう
「 ねえ、先生 」
「 … 」
「 天 」
「 え、何 」
無表情で、何か考え事をしている様子だった九条天が驚いた顔をしてこちらを見た
「 先生は、どの匂いが好き？」
「 …そうだね 」
九条天は、お試し品の匂いを嗅ぐ
少し悩んだ後に指を指した
「 これかな 」
「 …ふーん 」
ふわりと、優しい香りと、仄かな甘い香りがする洗髪剤。匂いはキツくない。
「 じゃあこれにする 」
ぼくは九条天が選んだものを手に取り、レジへ向かった。
この時のぼくは、九条天が寂しそうな顔をしていることに気付くことができなかった。
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夜乃ツキ(プロフ) - たばねさん» 応援ありがとうございます！ (2019年1月19日 23時) (
レス) id: afb473d78d (このIDを非表示/違反報告)
たばね - 頑張ってください！ (2018年9月29日 17時) (レス) id: 42ec3060fa (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - moriamiさん» コメントありがとうございます。まったり過ぎるとは思いますが、そう言って頂けると幸いです。今後とも頑張りますので、応援の程よろしくお願いいたします。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花さん» ありがとうございます。お褒め頂けるとインスピレーションが湧きます。( 此奴 )頑張りますね。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
moriami(プロフ) - これからも、まったり更新待ってます！ (2018年7月28日 21時) (レス) id: c093c53a69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜乃ツキ | 作成日時：2017年11月26日 22時
