episode11 ページ13
「 っふ、くく 」
さっきから、ぼくの話がツボに入ったのか、ずっと笑っている家庭教師。九条天。
「 そこまで笑うことないじゃん 」
課題にシャーペンを走らせながら、ぼくは九条天にそう言った
「 はあ、でも良いことだと思うよ。変わろうとしたんでしょ 」
人の話を聞いてか聞かずか、突然にぼくを褒める九条天に、調子が狂う
なんなんだ、この人
「 それで、その人とはどうなったの？」
「 明日から、ご飯一緒食べる約束した 」
「 っく 」
失礼だなこの人
今日声をかけた女生徒。いや、正しくは男子生徒の話が、こんなにもウケると思わなかった
「 終わったよ先生 」
ぼくはため息をついて九条天に課題を見せる
暫くしてから、ふわりと優しく笑えばぼくの頭を優しく撫でた
「 お疲れ様 」
本当、この人といると調子狂う
ぼくはそっぽを向いた
この、よく分からない感覚に、困惑する
くすぐったいような、切ないような、嬉しいような。ごちゃまぜの感情。
まるで、パレットの上に乗せた絵の具を、少し水で濡らした筆でぐちゃぐちゃに混ぜたみたいな。
色んな
黒く、黒く
「 清 」
「 あ、はい 」
「 そう言えば、答えは出た？」
何のことか分からず、首を傾げる
「 アイドル 」
ああ、そう言えば。そんな話してたっけ
「 変わろうとしたんでしょ。じゃあ、変わってみるべきじゃない？結果はどうであれ、やってみることは大事だと思うよ 」
天は課題のテキストを閉じれば、ぼくをじっと見つめた。
アイドルになるか、ならないか
「 …自信ない 」
「 でも昔、モデルやってたじゃない 」
「 それは 」
ぼくであって、ぼくじゃない
ぼくの過去。ぼくじゃない、過去。
倒されたままの写真立てに目をやる
九条天が来てから、ずっと倒れたままの
「 変われるかな 」
再確認を、するように
「 変われるよ 」
「 でも、友達に渡すはずだった10万円 」
「 10万円？」
「 オーディション受かったら貰えるんだ。あいつ、家計厳しいから、少しでも力になれたらって 」
ぼくらしくもないな
「 キミがアイドルになるなら、ボクかそれ出してあげる 」
「 は？」
軽々しくいう九条天に、ぼくは唖然とした
流石現役アイドル。
「 で、どうするの 」
昔なら、速攻で突っぱねられたんだろう
こんなの、絶対やらないって
なのに何で、悩んでるんだぼく
「 ーぼくは 」
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夜乃ツキ(プロフ) - たばねさん» 応援ありがとうございます！ (2019年1月19日 23時) (
レス) id: afb473d78d (このIDを非表示/違反報告)
たばね - 頑張ってください！ (2018年9月29日 17時) (レス) id: 42ec3060fa (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - moriamiさん» コメントありがとうございます。まったり過ぎるとは思いますが、そう言って頂けると幸いです。今後とも頑張りますので、応援の程よろしくお願いいたします。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花さん» ありがとうございます。お褒め頂けるとインスピレーションが湧きます。( 此奴 )頑張りますね。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
moriami(プロフ) - これからも、まったり更新待ってます！ (2018年7月28日 21時) (レス) id: c093c53a69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜乃ツキ | 作成日時：2017年11月26日 22時
