episode10 ページ12
ぼくは、変われるのだろうか
いつもより早い時間についたぼくは、下駄箱に外靴を入れて、上履きに履き変えれば、いつも通り、教室へと足を進める
ただ、いつもと違う事
教室の扉を開ければ、花瓶の置かれた机の前に佇む女生徒
今まで、周りのことなんて見たことなかったぼくには、その女生徒が、誰なのかわからない
「 ねえ 」
なぜか、声をかけてしまった
「 …っ、はい？」
女生徒は、驚いたようにこちらを見て、慌てて花瓶がぼくから見えない位置に立つ
「 どうしたの 」
何してるんだ、ぼくは。
どうでも良いじゃないか
「 何も、ないよ 」
“ 変われるよ ”
いつの間にか、体が勝手に動いていた。
ぼくは花瓶を手に取り、もう片方の手で女生徒の腕を掴む
「 来て 」
「 えっ、ちょ…清くん!? 」
通りすがり、こちらを驚いた表情で見る女生徒のグループ
ああ、成程。
ぼくは気にもとめないで、足を進める
「 清くん離してっ、目立ってるから！ 」
「 どうして。目立ちたくない？」
「 そうじゃなくて、私は… 」
女生徒は口ごもる。
ぼくは渡り廊下から外の花壇へと上履きのまま向かった。
「 ぼくには、君がいじめられてる理由は知らないし、君の名前もわからない 」
花瓶から花を出すと、花壇に花を置いた
花瓶の水を、そのままかけてやれば、ぼくは女生徒を真っ直ぐに見つめる。
「 この花は、植えても、水をどれだけやっても、もう咲かない 」
「 …清、くん？」
「 でもさ、君はまだ、枯れるには早いと思うんだ 」
いままで、クラスの事になんて目もくれなかったぼくが、何で今、こんな事をしているのだろうか。
「 我慢、してたね。偉いよ。凄く頑張ったね 」
女生徒は、目に涙を溜めて、ぽろぽろと零した
「 私、理解してもらえなくてっ 」
「 うん 」
「 神様が、体を間違えちゃっただけなのに。なのに皆、気持ち悪いって 」
「 …ん？」
「 確かに私は、体は男かもしれない。でも、女の子になりたいって、何でそれがだめなの？」
ぼくは固まる。
待って、状況を整理させて
「 君、男なの？」
「 …一応 」
変わるっていうのは、少しぼくには早すぎたみたいだ。
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夜乃ツキ(プロフ) - たばねさん» 応援ありがとうございます！ (2019年1月19日 23時) (
レス) id: afb473d78d (このIDを非表示/違反報告)
たばね - 頑張ってください！ (2018年9月29日 17時) (レス) id: 42ec3060fa (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - moriamiさん» コメントありがとうございます。まったり過ぎるとは思いますが、そう言って頂けると幸いです。今後とも頑張りますので、応援の程よろしくお願いいたします。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
夜乃ツキ(プロフ) - 夢花 ゆめいろ星（スター）の夢花さん» ありがとうございます。お褒め頂けるとインスピレーションが湧きます。( 此奴 )頑張りますね。 (2018年8月9日 12時) (レス) id: 95fbf1c3a1 (このIDを非表示/違反報告)
moriami(プロフ) - これからも、まったり更新待ってます！ (2018年7月28日 21時) (レス) id: c093c53a69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜乃ツキ | 作成日時：2017年11月26日 22時
