【銀魂】紅華の女医

※ ページ16

《土方 サイド》


手当を終え、楠本は一足先に朝食を取ると言い、食堂に向かった。




あいつ何か隠してる……。





「残念だったな…トシ、総悟。自己防衛の為って言えども、あの隙がない楠本先生の剣裁き。まるで舞を踊ってる様だった。」
　


「確かにあれは女が振るう剣筋じゃねぇでさぁ。強いて言うなら万事屋の旦那に似たような感じですぜぃ。」





確かに隊士を相手にしてたあいつは無駄な動きもせず、素早かった。



　

それにあの動きは……


　


「近藤さん…あの「戦場の彼岸花」の事知ってるか？」


　


「あれか、攘夷戦争でかつて白夜叉と共に名を轟かせた一人だったよな。一つの説で実は女じゃないのかって疑うほどの美貌を持った男らしい。



舞のように刀を振るい、奴の行く先には赤い花の様に血が飛ぶ。


その姿はまるで屍の上に咲いた彼岸花。
別名、地獄花。その名の通り奴の毒に刺された者は必ず死ぬ。




で、それがどうしたんだ？もしかして楠本先生があの彼岸花って言いたいのか？」


　


少し頷けば、予想通りに高笑いをする。
信じてねぇなこりゃあ。





「トシ、いくら何でもそりゃあ無いぞ。
女が出た戦なんて聞いたことが
ねぇ。それに知り合いだとしても、あの白夜叉が承知しないだろう。」





「そうですぜぃ土方さん。あんな小柄の女の人が戦に出る訳ねぇですさぁ。
　

確かに姉御の剣は強くて早い。だが、


数万人の天人を相手にした大戦争の中で、いくら旦那でも庇いきれねぇと思いますぜ。」




確かに天パは馴染みを戦争に出そうとはしねぇ。



それに資料では名が違う、他の男の顔が写っていた。



でもそれらが偽造って事もあり得る。





「近藤さんよ。俺ァ、あいつを真選組隊員として認めねぇ。」




「どうしてだトシ？隊員とは言っても特別任務にしか参加しないし、あの強さはうちとして必要な人材だぞ？」





謎が多過ぎるんだよ。さっきの顔といい、
あいつの身柄まで。そんな奴を仲間としてまだ受け入れる気がねぇ。





「そんなに気になるなら、白夜叉か本人に聞けば良いじゃないか。それで疑いも晴れるだろ？」





「直接聞いても答えないだろうよ。俺が勝手に調べる。その方が早い。」





「俺もちょいと探り入れてみやす。興味があるでね。

女の裏の顔って言うやつを。」





あの顔、
竹刀を握りながら震えていた。




俺は知りてぇ。
あいつが必死に守ろうとしていたものを。

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