【募集企画】とある最強の独立大隊。＜本編＞ (ページ9)

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自己紹介　ヴェルト&ヴィッセンページ9

ヴェルト・ロンネ。

ヴィッセン・ロンネ。

それは裏界隈の者の知る人ぞ知る暗殺グループ、フェルトのメンバーである。
暗殺グループフェルトとは裏の世界ではかなり名が知れていて「どんな依頼であっても必ず成功させる」と有名でありながら活動人数は二人しか判明していない。
本当に二人なのかーーそれすらも分からずお手上げ状態なのだ。
正体を日の本に晒そうとした腑抜けは消息不明となっている。

某日、彼等にとある依頼が来た。
その案件とは警備が厳しく観光すら難しい国ーーーその上国の国王を殺せ、という案件だった。
期限は無期限でありながら報酬は一生遊んで暮らす事の出来る大金、彼等は当然引き受けた。

だがその国は自国、同盟国に住んでいる者しか入国を許さずその上見張りも厳しい。
偽造した身分証明書は作成に時間がかかる。
長期戦でないと難しい為同盟国であるルーヴに住み身を一時的に置く事にした。

そうして住処を探している最中偶々レオンに遭遇し勧誘されたのである。

ヴィッセンは無言で本を捲る。
ウェーブの掛かった銀髪に光が差し込み双眸が煌めくソレはまるで絵画の様だ。

「どうしたんです？ヴェルト。先程から長らく私(ワタクシ)を目に写していましたが」

よほど眺めていたのかヴィッセンに声をかけられた。

「お前が永遠に黙れば良いモノを、と」

「勘弁してください」

そう伝えれば呆れた様に返してきた。
褒めるという行為は苦手、特にコイツには。
珈琲を飲もうとすると手元に珈琲が無い事に気付く。

「苦い。少量砂糖を入れた方が良いですね」

瞬間的に移動し既に俺の珈琲をさも自身の物の様にヴィッセンは語った。
貴様はブラックコーヒーを何だと思っているのか。
ヴェルトは一人溜息を吐いた。

「それは俺の珈琲なんだが」

「馬鹿ですね、分かってますよ」

さりげなく煽る所が貴様らしい。
ふんと反省する素振りも無しに珈琲が注がれたティーカップを置いた。

「なら勝手に飲むな。せめて報告しろ」

「頂きますね」

「事後報告は結構だ」

そう漫才かの様なやり取りをする。
ふとヴィッセンが声を上げた。

「嗚呼、そう言えば。近々本部考案による自己紹介があるのだとか」

「罠だな」

「確定ですがこうも断言しますか」

場所や日時を問うとヴィッセンは答える。
それが明日である事には盛大な溜め息をつく他無かったが。

若干当初より減った珈琲が舌に触れる。

武器の点検をしておくか、彼はそう呟いた。