終息の茶会 ヴェルト&ヴィッセン ページ40
既に荒れ果てた戦場を横目にウェーブの掛かった銀髪と丁寧に切り揃えられた茶髪は小柄な菓子を片手に茶会を彩っていた。
二人のティーカップからは調度良い湯気が靡いている。
片方は珈琲、片方は紅茶。
前者の人間はブラック過激派であり砂糖を多少でも入れよう物なら即流し台に投げる。
後者は気分により砂糖、ミルクの配分が左右し現在はストレートのフォートナム&メイソンを楽しんでいた。
某英国式の紅茶を嗜む彼は優雅に香りを啜っている。
そんな二人はぽつぽつと言葉を奏でながら本格的に始まる戦争について物語っていた。
「作戦は順調に進んでいますね」
「ああ。だが帝国側も落ちぶれた物だな、我々の大隊にはスラム育ちも少なくない…報復は考えないのか」
「それだけの脳が形成されているとは考えられませんね」
帝国を静かに罵倒しながらも会話は続く。
大凡の作戦を構築した所で現状の整理に努めた。
現在の戦線は外交途中と言う状況ーーだが、何時戦争になっても可笑しくは無いのだ。
西共和国は数師団がものの数時間で溶けた事に恐怖感を抱いているらしい。
元々工業に関しては発展途中な部分が垣間見える為武力に予算を振っているとの事。
対して帝国は多少ながらも共和国より工業が発達している為(セキュリティ等は月菜達のおかげである事を知らず)調子に乗っている節がある。
我々が今回考えた原案。
それは独立大隊の位置の格上げだ。
最初数師団を前線で争わせ、その時点で武力の差は目に見えている。
我々が不利に回った所で恐らく支援要求が本部から来る、それを踏まえ敵国本部基地の裏側から奇襲を開始するのだ。
「ですがそこまで安々と進むものですかねぇ…」
「書記長に関しては某元米国大統領だからな」
「…中々不名誉な物言いをしますね、深く同意しますが」
軽いジョークを織り交ぜつつーーいや、交ぜるあまり会議は踊る、されど進まず状態になってしまっている。
話に区切りがついた所でヴィッセンが思い出した様に声を発した。
「嗚呼、そういえば。この戦争が終わった段階でーーそろそろ案件を実行に移さねばりませんね」
その一言にヴェルトは目を伏せる。
多少なりともヴェルトはこの住処を気に入っていた証明とも呼べるだろう。
偽造した身分証明書は細部の設定を載せれば完了。
情報調達も既に出来上がっているのだ。
即ちーールーヴを脱退する、と言う事。
既に空になったカップに意味も無く目線を移すと一枚の紙切れを手に椅子を立った。
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味噌田楽(プロフ) - 更新しました。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
味噌田楽(プロフ) - 更新します。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» 了解しました。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
三ツ星優星(プロフ) - 柊 琥珀さん» メモ欄のお知らせです。追記も少ししたので閲覧お願いします(。・ω・)ゞ (2021年3月14日 0時) (レス) id: b581edf190 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» お知らせってどこのお知らせですか? (2021年3月13日 21時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:参加者様一同 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ikatomo/
作成日時:2021年1月24日 0時