宇宙的恐怖 ヨナグニサン&カイコ ページ28
「……しまった、囲まれた」
「ピ、ピエ……」
戦場から帰る最中、敵兵達に囲まれた。
今にも泣きそうになるカイコの頭を撫で、落ち着かせようと試みる。
しばらく撫でているとヨナグニサンのコートの下に潜り込んだ。
「おっと、そんなに怖いのかい?その人の塊が……って、あぁ、そうだったね……酷い事されていたなら怖いと感じるのも無理はない」
敵兵の目を見る限り「カイコを連れ戻しに来たか殺しに来たか」のどちらかだろうと分かった。
そしてそのついでにヨナグニサンも殺してやろう、と言うのも彼は分かった。
「なんだオマケか」とため息をつきながら呟きナイフを構える。
囲んだ奴らを数えるとざっと2個中隊ほど。
「……これを1人で殺しきるのは大変だな。良いかいカイコ、ちょっと動き回るから離れないようにね。あいつらは君を狙っている」
カイコはぎゅっと腕を掴む。この様子だとカイコは覚悟が出来たようだ。
「ちょっと多いけれど、皆殺すからね」
最初に動いたのはヨナグニサン。
真正面にいた敵兵を掴み投げ飛ばす。それが戦いの合図となったのだろう。敵兵達はヨナグニサンとカイコに襲いかかる。
「その兵器は渡さないッ!!」
「兵器と言っているのか、彼女の事。通りで怖がる訳だ」
「それに、彼女の名前はカイコだ」と付け加え喉元をナイフで掻き切る。
血しぶきが服を汚すが気にしている時間は彼には無い。
1人殺したらまた1人殺していく。
「……本当に数が多いな。西共和国の人的資源は一体いくつだ…?」
どれだけ強かろうと、クスリで自分を騙していても、所詮は人間。
数には叶わない生物。
ヨナグニサンはずっと戦い続けている故少し息が切れてきた。
「…ッ!!」
武器をナイフから銃に変え敵兵を殺し続ける。
攻撃をかわしつつ、銃弾を当てていく。
今の彼には「生と死のスリルを味わう」と「カイコを守る」という2つの目的があったのだ。
「ぅ、嘘だろもう銃弾切れ…」
いくら引き金を引こうとカチカチと音がするだけだ。
ヨナグニサンは用済みになった弾切れの銃を投げ捨て再び接近戦に持ち込む。
そこでふとある違和感を覚えた。
………カイコがいない。
「――――ッ!カイコッ!!カイコーッ!!」
敵兵達を殴り殺しながらカイコの名を叫び続けている。
するとどこからか小さなノイズ音が聞こえた。
それはカイコの声そのもの。
声がするところに急いで走って行く。今自分の疲れなんて気にする暇は無かった。
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味噌田楽(プロフ) - 更新しました。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
味噌田楽(プロフ) - 更新します。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» 了解しました。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
三ツ星優星(プロフ) - 柊 琥珀さん» メモ欄のお知らせです。追記も少ししたので閲覧お願いします(。・ω・)ゞ (2021年3月14日 0時) (レス) id: b581edf190 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» お知らせってどこのお知らせですか? (2021年3月13日 21時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:参加者様一同 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ikatomo/
作成日時:2021年1月24日 0時