鶴の戯言 鶴丸国永 ページ26
からん。
木刀の落ちる音が反響した。
ルーヴが現在進行形で死闘を繰り返す場所とは遥か離れた侍の国、日本。
龍祁と同じく日本刀の付喪神である彼等は居た。
日本刀としての本能なのか性なのか、明確には判らないが鶴丸と三日月は刀に打ち込んでいた。
「そこまでだ、鶴丸。三日月」
小柄な少年。薬研は縁側から立つ。
薬研が言えば、二振りは彼に一瞥をくれた。鶴丸が木刀を握り返す一方、三日月は黙り込み空を見上げる。
橙色と紫の争いが地平線の近くにて広がっていた。月が綺麗に見え、今日の夜はきっと星が映えるだろう、薬研が呟けばそうだな、と鶴丸は同意する。
「鶴、お前も強くなったなあ」
暫時黙っていた三日月ははっはっは、と妹の龍祁と似た笑い声をあげた。鶴丸は、そうかい?と問い手拭いで汗を拭った。
「しかしまあ、天下五剣の刀を負かせるたァ、鶴丸も中々やるようになったじゃねぇか」
「御褒めに頂いて光栄だ、薬研。して、どうだい?薬研、俺と一戦交えるか?」
「いや、俺は遠慮する」
「つれないなぁ」
鶴丸は、はは、と笑みを零し刀掛けに木刀を掛ける。
其の時、誰かが彼の名を呼んだ。
鶴丸が弾ける様に背後を向けば其処には平安装束を着用した鶯丸が立っていた。
「鶴。先程の三日月との闘い、見事だったな」
「なんだ、きみも見てたのかい」
「嗚呼。
「よしてくれって。俺を真っ赤にさせたいのかい?きみは」
「俺はあくまで事実を述べただけだ。事実、鶴に敵うものはいない。鶴の
「鶯、そのように申すが龍祁も中々に強いぞ?神気も完璧に扱え、我々日本刀の付喪神が受ける性はみな男だというのに、唯一
「んじゃ、俺はそろそろ――」
「して、鶴よ」
遮るように三日月は云った。鶴丸は口を開けたまま黙り込む。もぎ取られた言葉の端が宙を漂っていた。
酷く冷え切った空気の中、三日月は龍祁と同じ
三日月は口元を袖で隠す。
8人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
味噌田楽(プロフ) - 更新しました。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
味噌田楽(プロフ) - 更新します。 (2021年6月1日 21時) (レス) id: 9f9b8eea81 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» 了解しました。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
三ツ星優星(プロフ) - 柊 琥珀さん» メモ欄のお知らせです。追記も少ししたので閲覧お願いします(。・ω・)ゞ (2021年3月14日 0時) (レス) id: b581edf190 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 三ツ星優星さん» お知らせってどこのお知らせですか? (2021年3月13日 21時) (レス) id: 15069fcb1b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:参加者様一同 x他6人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ikatomo/
作成日時:2021年1月24日 0時