Ep,9 ページ9
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思えば、こういった事は珍しくはなかった。
ユノはああいう性格だから、嘘とか隠し事が苦手みたいで、初めての時も唐突だった。
『俺、お前が好きみたいだ』
何かの冗談だと思った。
いつも通り晩ご飯をつまみ食いに来たユノと一緒にテレビを見ていて。
毎週欠かさず見ているバラエティ番組で、芸人さんが笑うのと同時に私達も声を揃えて笑って。
『そうやって大口開けて笑うの、好き』
そうしていただけなのに、いつも通りのはずなのに。
突然目を合わせられてそう告げられる。
『口、開いてるよ...ふふっ、可愛い』
そんな事言われても、何も言い返せない。
『すぐ顔に出るところも変わらないなぁ。好きだよ』
そう言われた時私はどんな顔をしていたのだろう。
晩ご飯を知らせるお母さんの声が聞こえるまで、ユノからの告白は続いた。
結局その時は何も言うことが出来なくて、美味しいはずの晩ご飯の味も全く分からなかった。
...今でも返事は返せていない。
けどこうやって思いを伝えられることが度々あった。
それもまた、唐突に。
___________
「ねぇ、いつになったら返事くれる？」
私の肩に顔を埋めてボソボソ呟く。
「ユノ...」
こんなに自信がなさそうなユノあんまり見ない。
なんだかこんな真剣な場面なのに、昔の甘えたでお茶目なユノを思いだす。
「分かってるよ...Aが俺の事弟として可愛がってくれてること」
そう、お隣に住む可愛い可愛い弟。
大事な私の弟、ユノ。
「でもさ...弟じゃもういやなんだ」
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作者名：あき | 作成日時：2017年5月21日 20時
