Ep,12 ページ12
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Aさんは先輩のデスクの上の写真立てを見たことがあるだろうか？
きっと入社したばかりの彼女は知らないはず。
僕が入社したての頃、暇があれば写真立てを見て微笑む先輩に聞いてみたことがあるんです。
｢何の写真ですか？｣って。
椅子の方に回り込まないと見えないから、今までどんなものなのか知らなくて。
笑顔で見せてくれたのは、幼い先輩と先輩より少し背の高い女の子がこちらに向かってピースをしている写真でした。
｢皆には内緒だぞ｣と人差し指を口に当てた先輩にそれ以上聞くことは出来なかったけど、大切な人なんだという事は良くわかりました。
それが、Aさんだったんですね。
あぁ、同情っていうのは...
きっとしばらくは周りの目が痛いだろうなぁって事ですかね。
ユノ先輩、人気者ですから。
ふふ、ライバルがたくさんですね。
「もう一杯いいだろぉ？」
でもまぁ今は、この酔っ払いを連れて帰るのが先ですね。
「先輩、携帯貸してもらってもいいですか？」
「ん？なんだ？忘れたのか？」
「いえ、ただAさんに電話でも、と...」
「え？...なんだお前、さっきは興味ないみたいなこと言っておいて、本当は...」
「違いますよ。ほら、もうそろそろ帰らないと終電なくなっちゃいますし」
だからってこの酔っ払いを担いで電車に乗る勇気も無いし。
...仕方ないですよね？
「...あ、もしもし。チャンミンです。Aさんですか？」
「ちょっ、おい！チャンミン！」
さて、明日からまた一段と仕事が楽しくなりそうですね。
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作者名：あき | 作成日時：2017年5月21日 20時
