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Ep,11 ページ11
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「それでさぁー聞いてくれよぉ」
「はいはい、分かりましたから先輩。お酒は終わりにしましょう？」
タダをこねて中々お酒を離さないユノ先輩に苦笑いする。
まさか先輩がこんなにお酒弱いなんて...
普段忘年会などで飲みに行く時は僕の方が飲んじゃってあまり先輩を見たことは無かったけど、そうか、いつもは控えてたのか。
「チャンミナぁ」
会社とは違った甘えた口調で呼ばれて思わず身構える。
二人きりが初めてだからとか、そんなんじゃない。
...さっきの先輩の緩みきった表情を見てしまったからだ。
何かあるな、とは思っていた。
優しいけどいつも誘いを断って定時には必ず帰る、どこか他人行儀な先輩。
そんな先輩がAさんの前だと違って見えた。
『チャンミン...お前、Aには手ぇ出すなよ』
Aさんの後ろ姿が見えなくなってすぐに言われた言葉。
僕がそんな事するように見えるんですかね？
というか、そんな顔で睨まれたら出せる手も出せませんよ...
と、まぁ冗談はそこらへんにして、大丈夫ですよ、僕は応援していますから。
給湯室から戻ってきたAさんを見て、思わず微笑みかけてしまった。
あの先輩にこんなにも大切にされている事への驚きと祝福。
...それと、少しの同情を込めて。
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作者名：あき | 作成日時：2017年5月21日 20時
