ゆきの音色はきらきらと

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携帯でアニメの見逃し配信を見ていると、カーテン越しに「さっくん〜入るよ〜」という声が聞こえた。黙ってると勝手にカーテンが開けられる。

「もう一回お熱測るよ」

ふっかはまたも無遠慮に体温計を差し込んでくる。渋々アニメを中断してスマホをテーブルに放り出す。

「37.8。少し上がってるね。今日は院内学級お休みして、ちゃんと身体休めようか。」

小さい頃から担当してくれるふっかのことは、好きだけど同じくらい嫌い。お母さんに反抗したくなっちゃうみたいに、ふっかにはなぜか素直になれない。多分、俺がひどい態度を取っても、変わらずに愛情を向けてくれるって確信があるからなんだけど。

名札につけられた黄色いキャラクターを目で追った。小さい頃は痛いことがあるたびにご褒美としてそのシールを貼ってくれたなあ。いつからその習慣は終わったんだろう。


「さっくん」
「なに」
「具合大丈夫？」
「めめと翔太は教室行っちゃう？」
「いや、翔太は検査が入ってるから今日はお休みだよ。」

その返事に少しだけ安心した。最低だけど、置いていかれるのは怖いんだ。「大丈夫だよ」ふっかの声が聞こえた。ふっかは全部知ってるみたいに、俺の頭をポンポンと撫でた。

「大丈夫だよ。さっくんはさっくんのペースで歩いていけば良いんだから。」

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