ゆきの音色はきらきらと

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そのあとはふっかに支えてもらいながらトイレ行って、歯を磨いて、顔洗って。少し休んだら朝食が運ばれてくる。この時間が俺にとっては苦痛な時間だったりする。病院のご飯って不味いし、朝って腹減らないし。薄いオレンジ色のエプロンに身を包んだ康二が、朝食の乗ったトレーを運んできてテーブルに置く。
魚だとかほうれん草だとか、早口でメニューの説明をしてくるけれど何一つ頭に入ってこない。

「さっくん、先にお薬飲もうな〜」

量が少ない子は自分で管理することもあるみたいだけど、俺の場合は飲む量が多いから基本的に看護師さんが管理してくれてる。食前に飲まなきゃいけない薬を手のひらに出して、一気に水で流し込んだ。

「一人で食べれそう？」
「うん、大丈夫」

俺の返答に満足したのか、康二は忙しそうに部屋から出て行った。足音が遠ざかったのを確認してから、ソロリとベッドから立ち上がった。俺がいるのは四人部屋で、目黒と翔太が同室のルームメイトだ。年齢層の低い小児病棟では珍しい同年代で、二人とも話の分かる良いやつらだ。
二人の病気について詳しいことは知らないけど、翔太は免疫に疾患があって、目黒は肝臓に問題があるらしい。聞き耳を立てて得た情報だから、信憑性はあまり無いけど。

「おはよ」

丁度向かい側にある二人のベッドまで足を運んで、ベッドサイドのパイプ椅子に腰掛けた。翔太はまだ眠いのかボーっとしながら食事の載ったトレーを見つめている。目黒は朝から元気そうに白米を頬張っていた。

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