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『はい、ユマちゃん、今日のお給料』
「ありがとうございます」
『今日で取り返せたな、今月分』
「はい、よかったです、、」
『この調子で明日もよろしくな』
「はい、お疲れ様です」
『お疲れ様〜』
遠くが透けそうなくらい薄っぺらい茶封筒に
諭吉が何人浮かぶかで自分の値打ちを知る。
この感覚が本当に嫌い。
それでもここに居るしか
私には居場所がないから縋り付くしかない。
「お疲れ様です」
「あ〜、ユマちゃんお疲れ様〜」
お給料をもらって更衣室に行くと
私よりも何ヶ月か先に店に入ったサキさんがいた。
「ユマちゃん、今日着きっぱなしだったよね？
身体平気？ 疲れたでしょ？」
「サキさんほどじゃないですよ
毎日予約で埋まりっぱなしじゃないですか」
「ありがたいことにね〜笑」
サキさんはこの店のランカーで
私よりも何ヶ月か先に入店したのに
私が店に入った頃には売れっ子だった。
毎日サキさんの予約を取るので
躍起になる男の人達の気持ちは分からなくもなくて
サキさんは人気なのにそれを鼻にかける事もなく
お店の女の子を気遣う余裕もあって
いろんな人に好かれるのが手に取るように分かる。
こんな風な人が誰かに必要とされるのは当たり前。
ごく一部に需要のある私とは住む世界が違う。
「あ、そう言えばユマちゃん
携帯、ずっと鳴ってたよ〜」
「え、本当ですか？」
私服に着替え終えていたサキさんが
私のロッカーを指差しながらニヤッと笑った。
「えー、なになに、いい人でも出来たの？」
「もー、そんなんじゃないですよ笑
メルマガとかだと思います」
「えー、そんな時間も開けずに頻繁に来る〜？」
「意外とマメに来るんですよね笑」
「面倒臭い男並みじゃん笑」
「サキさん、例えが笑」
「え〜〜笑」
多分、メルマガだと思う。
こんな時間に連絡をくれる人なんていないし、、
ましてや彼氏なんかいない、、
期待なんかせずにロッカーを開けて
スマフォを取り出すと着信が何件か入っていた。
誰だろ、、
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作者名：八名 | 作成日時：2018年5月23日 19時
