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『ユマちゃん、本指ぜんぜん取れてないよ、今月』
「、、はい、すみません」
『お店的には別に問題ないけどさーあ、
ユマちゃん的には厳しいんじゃないの？ね？』
「そう、ですね、、」
『じゃあ、頑張らないとじゃない？』
「はい、頑張ります、すみません」
『まぁ、そんな暗くならないで、
ユマちゃん可愛いし若いんだからさ』
「はい」
『先月に比べて本指率が下がってるだけだから
そんなに気にすることでもないからさ、ね』
�犲磴き瓩鍬牴聴Δき瓩覆鵑討茲�言うよ、ね、、
実際そんなの関係ないのに、、
私は何をどう頑張ればいい？
何をどう頑張ったら正解？
こんなに気持ちすり減らして身も削って
毎日毎日飽きるほど頑張ってるのに
これ以上何をどう頑張ればいいの？
薄暗い店内に異様に光るピンク色のライトが
小さいながらギラギラと煩いミラーボールに
痛いくらいに反射して室内を妖艶に彩る。
もうだいぶ前にこんな奇妙な光景にも慣れた。
もうだいぶ前にこんな汚い仕事にも慣れた。
どこにも行けない私はここに縋り付くしかない。
だから慣れるしかなかった。
人間、生きる為なら
何処までも堕ちて行けてしまう。
実感するのは束の間だった。
「、、はぁ」
事務室とは名ばかりの3畳もないキッチンから出て
待機室へと戻る途中、非常口の扉が少し開いていて
堪らずそこへ逃げ込んだ。
「あ、降って来てたんだ、、」
非常口から外に出るとポツポツと雨が降っていた。
あぁ、夜から雨になるとか
そらジローやってたな、、
そう言えばさっきのお客さん
傘、持ってたっけ、、
ビルの4階と5階に店を構えるここからは
繁華街を上から眺められる。
カラフルに咲き乱れていく傘は増えていき
非常階段に打ち付ける雨の音が次第に強くなる。
帰る頃には本降りかな、、
もう桜も咲いたのに吐く息は未だに白む。
春はまだ先かぁ、、
大きめのワイシャツだけではさすがに寒いけど
少しだけネオンに照らされる雨に触れたくなって
滑らない様に非常階段を伝って地上に降りた。
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作者名：八名 | 作成日時：2018年5月23日 19時
