僕らの天使。 (ページ2)

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飲食店にて。ページ2

『エミさん！こっちやで』

そこには満面の笑みで迎えるゾムさんがいた。

「は、はい」

『なあ、なんかあったん？』

「…実は離婚したんです」

『！？』

鳩に豆鉄砲くらったような顔で驚く。
そりゃそうだろう。
急にこんな話を聞かされれば、私もそうなっていた。

「私が悪かったんです。私が仕事ばかりしていたから、浮気してしまったんです。」

『浮気…あの人が…』

「はい。」

『エミさんなんも悪ないやん』

「でも、私があまり早く帰れなかったから…」

『それは家族を養う為やろ。それはしゃあないやん』

「ですが…」

『エミさんはなんでもかんでも自分のせいにしすぎや。エミさんは悪ない。俺が保障する。』

ゾムさんは本当に優しい。
過去には味方最大の脅威と呼ばれた彼だが、
すぐにこうして私にこんな言葉をかけてくれる。
そんな言葉に、つい涙を流してしまう。

「…ありがとうございます…」

『！？泣かんでもっ…いや、まあ泣いてまうか。ええで、エミさんが落ち着くまで今日は付き合うで？』

「…ゾムさんに相談して、良かったです。」

『役に立ててなによりやわ。』

「もう一つ、言わなければならないことがあるんです。」

『なに？』

「もしかしたら、会社をやめるかもしれません。」

『…は？』

「子供がいるのは知ってると思うんですけど、その子を置いて仕事するわけにはいかないので…」

『あかんで』

「え」

『そんなん俺がゆるさへん。仕事に連れて行けばいい話やろ。』

そういって彼はスマホを取り出した。

「ゾ、ゾムさん…！？」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…

『あ、グルッペン？はなしあんねんけど』

［残念やけど俺はトントンや。グルさんなら隣で酔い潰れてる。］

『まあトントンでもええわ。エミさんの子供仕事に連れてってええ？』

［子供を！？なんで…あっ、グルさ、

　いいんじゃないか？］

『グルッペンならそう言うと思ったわ。ありがとうんじゃ。』ﾌﾞﾁｯ

『やってさ、良かったな！エミさん！』

「そんな、いいんですか…？」

『グルッペンがいいねんからいいやろ。これでエミさんもやめんでええな！』

「！…ありがとうございますっ…」

『ええで、これからもエミさんと仕事したいしな！』

「では、明日連れて行って見ますね。」

『うん、楽しみにしとるわ！』

「本当にありがとうございましたっ…！」

いつもこうしてゾムさんは私を助けてくださる。
なんて私は幸せものなのだろうか。