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「しょうかく…？」
「うん…明日付で昇格。」
隆平の復帰からまもなくのこと。
亮の昇格が決まった。
亮が一番に報告したのは、やはり同室の友人たちであった。
黙って耳を傾ける章大と忠義に対して
いまいち状況がわかってない風な隆平を見て
亮が丁寧に兵の仕組みを教え始めた。
「ここには訓練兵がおるやろ？そこに階級があんねん。」
訓練兵と教官、先輩兵と新米兵、
食堂の様子だけでもそれは一目でわかること。
隆平は大きく首を縦に振った。
「ここには俺らみたいに志願して15から居る人と、
18で国から徴兵されて来る人がおってな？
18で来る人の方が階級は上なんやけど、すぐ戦地に出られるから最低限の訓練だけして出て行くねん」
そういえば、隆平のことを痛めつけた人たちももうここにはいない。
村上が次に出て行く訓練兵の名簿に名前を書き加え、
隆平が寝込んでいる間に出て行ったと聞いた。
「で、俺らみたいに15から入る人間の中にも階級はあって、
一番下の人間はとにかく身体作るだけ。これまでの俺みたいな感じ。」
その言葉に章大と忠義が頷く。
たしかに、中学卒業まで見ていた身体とはだいぶ二人も変わっていると隆平は感じていた。
よほど厳しく鍛え上げられているのだろう
「で、その一つ上。明日から俺がなる階級は、訓練もあるけど、ココ使うんもあるねん」
そう言って亮は自分の頭を右手の人差し指でトントンと叩いた。
「まさか中学の成績引っ張り出されるとは思わへんかったわ…」
中学時代、話すことはなかったが
亮の成績の素晴らしさの噂くらいは隆平の耳にも入っていた。
やんちゃな男の子ではあるが、勉強も運動もなんでもできる、
そんな亮はご近所では隆平とは別の意味で有名であった。
だからこその抜擢なのだろうと、隆平は一人で納得した。
しかし、嬉しいはずの昇格をあまり嬉しそうに話さない亮。
階級が上がるのは良いことだと安易に考える隆平と対照的に
亮の顔は曇り、今にも雨を降らしそうな勢いだった。
そのわけを問いたかったが、
亮の顔を見ると隆平は声を出すことができなかった…
それは章大も忠義も同じだった。
膝を抱えて、俯き、亮の言葉を待っている。
ここ数日は活気のあった部屋に流れる静寂のひととき
それが隆平にはとても不安で、たった数分が数時間にも数日にも思えた。
「変わらんといてな…」
たった一言、部屋に響いた亮の声は
泣いていた。
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You(プロフ) - 今更ながらこの作品に出会いました。良き結末であることを祈っております。 (2021年5月24日 1時) (
レス) id: 4838a1782f (このIDを非表示/違反報告)
よんぱち(プロフ) - 愛∞さん» ありがとうございます！世界観大切にしながら頑張りますね(^^) (2018年10月14日 22時) (レス) id: 133e76bc63 (このIDを非表示/違反報告)
愛∞(プロフ) - 相変わらず、すごいですね。こういう雰囲気とか世界観に最近ハマってます。頑張って下さい！ (2018年10月14日 11時) (レス) id: 64e52e5a9f (このIDを非表示/違反報告)
愛∞ - 新作作ったので、ぜひ読んでください。(大嫌いな君。) (2018年7月9日 21時) (レス) id: bcf804df6a (このIDを非表示/違反報告)
よんぱち(プロフ) - 愛∞さん» ありがとうございます。愛∞さんもがんばってくださいね(^^) (2018年6月30日 21時) (レス) id: 9f05dd0fde (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よんぱち | 作成日時：2018年6月17日 21時
