・ ページ38
「また増えるんかい」
村上は深夜にも関わらず
上層部から届いた文章に目を通していた。
同じ教官という立場でありながら
訓練兵の指導をするのは村上、上層部とやりとりをするのも村上。
一日中忙しなく動く村上とは対照的に
横山はあまり訓練兵にも姿を見せず、教官室に籠もることが多い。
周りから、何をして一日を過ごしているのか、と思われていそうなものだが
村上は横山に自分の仕事を手伝わすつもりはない。
彼は彼で、大切な任務を遂行していることを知っているからだ。
それにしても、兵舎の部屋はすでに満室。
そこにさらに30名も志願兵を入れるという上層部からの通達は
無理難題にも取れた。
今の時点で一番下の訓練兵を受け入れたときも
元々2名1部屋のところを3人１部屋にしたのだ。
「4人1部屋にせぇっちゅうんか？寝られへんくなるぞ」
普段は訓練兵の模範となるべく従順に命令に従う村上ではあったが
実際の彼の姿はこんなものであった。
戦争に対して賛成も反対もしない。
ただ己の身を守るために与えられた任務を全うするだけ。
いくら国の命令と言えど、ツッコミどころのあるところには遠慮なくツッコんだ。
業務外の時間まで自らの言動を束縛されたくはないのだ。
もちろん、訓練兵の前では厳しい戦時教育を徹底する人間に変貌するのだが。
「4人はキツいやろ…」
かといって、資源的にも金銭的にもゆとりのない今、増築なんてできやしない。
どうしようかと頭を抱えた村上の頭に突如よぎったのが
すでに4人で生活させている一室の存在。
「せや、あいつらに聞いたろ」
時刻はまもなく消灯時間。
料理番の任務も終わっていることだろう。
思い立ったが吉日。
村上は衣服を整え、自室の扉を開けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛∞ - 続編も、読ませて頂きました。これからの展開に、ハラハラドキドキしています。これからも更新頑張ってください！ (2018年6月22日 16時) (
レス) id: bcf804df6a (このIDを非表示/違反報告)
愛∞ - 良ければ、私の作品も読んでください。もし、読んでくれたら、コメントください。絶対返信します。ヒバナ、ヒバナ2、青春のすべて、僕と君以外がいない街、すばるくん検定など。 (2018年6月17日 20時) (レス) id: bcf804df6a (このIDを非表示/違反報告)
よんぱち(プロフ) - 愛∞さん» コメントありがとうございます！そう言って頂けて嬉しいです(^^)これからも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: 133e76bc63 (このIDを非表示/違反報告)
愛∞ - この小説の世界に、引き込まれます。めっちゃ、面白いです。 (2018年5月21日 12時) (レス) id: ee6c2328de (このIDを非表示/違反報告)
よんぱち(プロフ) - 花音さん» コメントありがとうございます！返信遅くなり申し訳ございません(;_;)そう言っていただけてとても嬉しいです！亀さん更新ですがこれからも頑張ります(^^) (2018年5月20日 22時) (レス) id: 133e76bc63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よんぱち | 作成日時：2017年12月1日 22時
