番外編 改めて ページ48
「ほ、ほんとに、いい行くんですか…?」
「行くに決まってるでしょ」
今私と伊沢さんが居る場所は、ここ最近は何度かお邪魔させていただいている東大王の楽屋。とは言っても私は東大生側で出るわけではなく芸能人チームの方に出させていただいているので、ここの楽屋には挨拶くらいにしかお邪魔したことがない
その際、水上さんや鶴崎さん達とは多少の会話くらいは交わしたことがあるが、やっぱり彼らは雲の上の存在。何度か来たことがあるとはいえ、今の私の心臓は死にかけだ
決して伊沢さんが雲の上の存在じゃないという意味ではない
じゃあ今回も挨拶なのか、と聞かれると実はそうではない。いや、強ち間違ってはないのだが
今回も有り難いことに東大王で共演させて頂くことになったので、その挨拶がてら私たちの事も伝えよう、と伊沢さんに提案されたのだ
「い、いやいやいやっ、やっぱり、今日じゃなくても…!」
「え〜そんなに俺との事話すの嫌?」
「そ、そういうわけではっ…!」
「うそうそ!分かってるって。じゃあ入ろう」
「お、鬼だ、この人…」
私のささやかな抵抗も空しく、さらりと私の手を拐ってなんの躊躇いもなく扉を開ける伊沢さん。一人突然繋がれた手にドキドキしている私とは違い、歳上の余裕と言うのか、伊沢さんは軽く室内に居る人に挨拶をすると、早速「実は今日、皆に報告があってさ」と本題に入った
そ、そりゃあ、この歳にもなって手繋ぎごときでドキドキなんてしませんよね…
「えーついこの間からだけど、僕達付き合い始めました」
「えぇっ?!え、おめでとうございます」
突然過ぎる訪問に加え、突然過ぎる報告にも皆さん嫌な顔一つせず、口々に「おめでとうございます」という言葉を投げ掛けてくれる
なんだか照れ臭くなったのか、伊沢さんがちらりとこちらに視線を寄越して「改めて言うと恥ずかしいな」なんてはにかむ。この笑顔を見ると何故かもう片想いじゃないのに、心臓がキュッてなる。不思議だ
「ふはっ、Aちゃんめっちゃ幸せそうじゃん」
「え?!そ、そんな表情に出てました…?」
「え、めっちゃ出てるよ。にへぇって顔してる」
「にへ…ッ?!」
ケラケラ笑いながらからかってくる砂川さん。彼とは以前、私が人混みで酔ってしまって道の端で休憩していた時、「大丈夫ですか?取り敢えずどこかで涼みましょう」と声を掛けてくださったのが切っ掛けで、仲良くなった。正直、今でも信じられない
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白菜(プロフ) - しぃさん» いえいえ!ご希望に添えたなら良かったです! 今回は話数が限られていたので、初めて直接うらツク内に書かせていただいたので少々展開等が変になっているかもしれませんが、そこも愛嬌ということにしておいてくださると嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました (2020年2月2日 0時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» ごめんなさい!完結後にもかかわらずリクエストしてしまって…でも最高でした!もう推しのにやにや顔を想像して昇天しそうでした← (2020年2月1日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» そうですね。以後気を付けます! (2020年1月27日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 白菜さん» 神ですよー!にしても少し回復したようで良かったです!私含め皆さんが白菜さんの事気にかけていたので、コメントを見てもっともっと元気を出して貰えたらと思います! (2020年1月27日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます!リクエストの方ですが、あと二話ほどなら入るので短くはなりますがなんとか書いてみます!そして細かいかもしれませんが、次回からはお名前をsngwというように伏せていただけると助かります(笑) (2020年1月27日 21時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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