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. 確かに、他の人と比べてAちゃんに対しての距離は、近かったかもしれない。勿論下心があったとかじゃなくて、頭を撫でただけで顔を真っ赤にする姿とか、ちょっと距離を近づけるとすぐキョドるところとかが、以前山本が言っていたように小動物みたいで、ついいじりたくなる、から…で……
―――そこで、ふとなにかが引っ掛かる。ほんとに、それだけだろうか
「好きならこれ以上、あの子を傷つけんといてください…」
…好き?俺が?
「好きって、そんなわけ…」
「…あぁ、まさかの気づいてなかったパターンですか、そうですか分かりました」
「待て待て待て、最後まで言えっ!」
パッと胸ぐらから手を離してそそくさと俺に背を向ける川上を慌てて引き留める。いや待て、そんな気になるワードを残して去るな。気になりすぎて夜も眠れねぇから
そもそも、俺自身も未だ自覚がないのに、なにを根拠に俺がAちゃんを好きだと思ったんだ
川上もずっと男子校で恋愛には超がつくほど疎い筈だろう。なのに、何故、そう思ったんだ。何故そう断言出来るんだ
「…はぁ。伊沢さん、ここ最近ずっとAのこと目で追ってたじゃないすか」
「…まぁ。いやでもそれは、心配だか」
「俺とAが付き合ってるって騒ぎ立てられたときも、嫉妬に顔歪めてましたし」
「……別に、顔歪めてたつもりは」
「今だって」
グッと顔を近づけられて、一歩後ろに下がる。今だって、なんだよ
先が気になる。なのに、どこかでこの先を聞きたくないような気もしていて、自分から先を促すことなく川上が口を開くのをただ待つ
…ただの勘でしかないが、この先を聞いてしまったらもう、戻れないような気がしたんだ。核心を、つかれる気がした
モヤモヤする。イライラする。なにかが、気に入らない。この感情がなんなのか、この先を聞いたら、分かる気がした
分かってしまう、気がした
「―――俺がAって呼ぶ度、顔歪んでますよ」
カチッと空いていた最後のピースが川上の手によってはめられる。その瞬間、足からふっと力が抜けて俺はズルズルと壁を背に座り込だ
今までの出来事を思い返すと、惚れていたからと考えれば全ての辻妻があった。そしてその事実が、急に岩のごとく俺の背中にのし掛かった
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白菜(プロフ) - しぃさん» いえいえ!ご希望に添えたなら良かったです! 今回は話数が限られていたので、初めて直接うらツク内に書かせていただいたので少々展開等が変になっているかもしれませんが、そこも愛嬌ということにしておいてくださると嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました (2020年2月2日 0時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» ごめんなさい!完結後にもかかわらずリクエストしてしまって…でも最高でした!もう推しのにやにや顔を想像して昇天しそうでした← (2020年2月1日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» そうですね。以後気を付けます! (2020年1月27日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 白菜さん» 神ですよー!にしても少し回復したようで良かったです!私含め皆さんが白菜さんの事気にかけていたので、コメントを見てもっともっと元気を出して貰えたらと思います! (2020年1月27日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます!リクエストの方ですが、あと二話ほどなら入るので短くはなりますがなんとか書いてみます!そして細かいかもしれませんが、次回からはお名前をsngwというように伏せていただけると助かります(笑) (2020年1月27日 21時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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