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「……聞いて、くれますか…?」
「一応、そのつもりで呼んだんだけど」
…迷惑を掛けてしまうのは、分かっている。けど、はち切れんばかりに膨らんだこの思いを、この先一人で背負い続けることは、きっともう無理だろうから
今だけは、川上さんのこの言葉に、甘えよう
「………伊沢さんの、ことは……好き、です…どうしようもなく、好きです…」
「うん」
「最初は、勘違いかもしれないって、思ってたんです……でも、目で追うようになってから、伊沢さんが笑顔を向けてくれる度に、胸が、締め付けられて…可愛いって言ってくれる度、どうしようもなく、嬉しくなって…でも、それが仲間だからなんだと、思うと…苦しくて、仕方ないんです…」
「…うん」
「嬉しい筈なのに、私だけじゃないんだと思うと、苦しいんですっ…どうしたら良いかも、分かんなく、なるんです…」
「…」
「ッ伊沢さんに触れられる度っ、息が、できなくなるんです…ッ」
前にやっていたドラマでも言っていた。「息が出来ない」と。初めて見たとき、私にはその気持ちが分からなかった
いくら恋をしようが、いくら不安になろうが、呼吸というものはやらなきゃ死んでしまう。その時の私は、恋というものがどんなものかも知らなかったし、相手が別の誰かの元に行ってしまうかもしれない、なんて不安がどれ程のものかも知らなかったから、なに言ってるんだろうなんて思っていた
でも、今なら分かる。息が出来ないんだ。呼吸はしてるのに、どうしようもなく、苦しい。それはもう、このまま死んでしまうんじゃないかってくらい、辛くて、酷く、泣きたくなるんだ
「くるしい…っ」
流す筈の無かった涙がマスクに吸われていく。そんな突然泣き出した私を、川上さんは優しく包み込む
暖かい。その暖かさは今の私にはかなりの特効薬であり、猛毒で、喉元でつっかえていた何かが溶けて、呼吸が出来るようになる。代わりに、このままこの温もりにすがりついてしまいそうで、怖かった。空いた穴を、彼の温もりで満たしてしまいたい欲求に駆られてしまいそうで、グッと唇を噛む
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白菜(プロフ) - しぃさん» いえいえ!ご希望に添えたなら良かったです! 今回は話数が限られていたので、初めて直接うらツク内に書かせていただいたので少々展開等が変になっているかもしれませんが、そこも愛嬌ということにしておいてくださると嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました (2020年2月2日 0時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» ごめんなさい!完結後にもかかわらずリクエストしてしまって…でも最高でした!もう推しのにやにや顔を想像して昇天しそうでした← (2020年2月1日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» そうですね。以後気を付けます! (2020年1月27日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 白菜さん» 神ですよー!にしても少し回復したようで良かったです!私含め皆さんが白菜さんの事気にかけていたので、コメントを見てもっともっと元気を出して貰えたらと思います! (2020年1月27日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます!リクエストの方ですが、あと二話ほどなら入るので短くはなりますがなんとか書いてみます!そして細かいかもしれませんが、次回からはお名前をsngwというように伏せていただけると助かります(笑) (2020年1月27日 21時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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