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「…そういえば、伊沢さん。今ここはイベントの会場を確保出来なくて困っているらしいですね?」
「…まぁそうですが…どこでその情報を?」
「Aが会場を貸してほしいと頼みに来た、とクライアントから聞きまして。そこで提案なんですが、」
―――Aを辞めさせるかわりに、こちらで会場を用意する、というのはどうでしょう?
シーンと部屋全体に沈黙が訪れる。全員が口を閉ざしたことで近くで行われているという工事の音だけが、部屋に反響した
分からない。お父さん自身は約束を破ったのに、私にはそこまでして約束を守らせようとする理由も、そこまでして守らなければならない約束も、分からないことばかりだったけど…その中でも、確かなことはあった
私が辞めれば、この問題は解決するということ
「…っわ、私、」
「―――その条件は呑めません」
「辞めま……え」
グイッと肩を引き寄せられて伊沢さんの方に重心が傾く。彼の体に当たってずれた眼鏡を慌てて直していると、伊沢さんは更に言葉を続けた
「僕はAさんが本当に辞めたいと言うまで辞めさせる気はないです。彼女の書く記事はどれも面白いし、呑み込みも早くて、クイズの才能もあります。こんな子を、僕はそう簡単に手放したくはないです
そしてなにより、彼女は僕らの大切な仲間なので。そんな仲間を切り捨ててまでクイズ大会を成功させても、僕は全く嬉しくないです。全員で問題を乗り切ってこそ、本当の成功ですから」
…かっこいい。その一言に尽きる
な?とお父さんに向けていた真剣な顔を崩して笑顔を向けてくれる伊沢さんに、思わず胸が脈打つ。顔も、熱い
…きっと、助けてもらったからだ。単純だから、助けてもらっていつもよりかっこよく見えてしまっているだけだ
真っ直ぐとお父さんを見据える横顔かっこ良かったなとか考えてるのはきっと、きっと、そういう感情ではない
ない…筈
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白菜(プロフ) - しぃさん» いえいえ!ご希望に添えたなら良かったです! 今回は話数が限られていたので、初めて直接うらツク内に書かせていただいたので少々展開等が変になっているかもしれませんが、そこも愛嬌ということにしておいてくださると嬉しいです(笑)リクエストありがとうございました (2020年2月2日 0時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» ごめんなさい!完結後にもかかわらずリクエストしてしまって…でも最高でした!もう推しのにやにや顔を想像して昇天しそうでした← (2020年2月1日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ(プロフ) - 白菜さん» そうですね。以後気を付けます! (2020年1月27日 22時) (レス) id: 1457e73937 (このIDを非表示/違反報告)
まつりか(プロフ) - 白菜さん» 神ですよー!にしても少し回復したようで良かったです!私含め皆さんが白菜さんの事気にかけていたので、コメントを見てもっともっと元気を出して貰えたらと思います! (2020年1月27日 21時) (レス) id: e802cc95c8 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - しぃさん» ありがとうございます!リクエストの方ですが、あと二話ほどなら入るので短くはなりますがなんとか書いてみます!そして細かいかもしれませんが、次回からはお名前をsngwというように伏せていただけると助かります(笑) (2020年1月27日 21時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
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