検索窓
今日:5 hit、昨日:54 hit、合計:479,797 hit

ページ5

月の綺麗な夜、私は理恵さんと共に任務に向かっていた。
柱合会議で話題にあがったある凶悪な鬼の情報を、掴む為に。
屋敷を出る際に、時透くんに、また理恵さんと任務なの、と言われた。
とても嫌そうな顔をしていた。

理恵さんは、みんなに好かれている。
無愛想で無口な私は、みんなに嫌われている。

柱の皆も、あまり私と話そうとはしない。
話す時と言えば、柱合会議や理恵さんと間違われて声をかけて来る時。

きっと時透くんだって、私と理恵さんが共にいることに不快感を感じているんだろう。
あの表情の意味はそれしか思い付かない。
嗚呼、そんなに私のことが嫌いなのだろうか。



「此処で二手に別れましょう。
一時間程で合流しましょう、その際にどちらかがいなければそちらに向かいましょう」

「分かった。じゃあね」

そう言って理恵さんと分かれた。
けれどこれが、失敗だった。



「誰かッ!誰か助けてッ!!!」

一時間後、姿が確認出来なかった理恵さんの方角を追って走っていると、聞こえて来たのは女性の悲鳴。
その声を追って駆け付けると、鬼化した女の子が、一回り体格の大きい男の子を押し倒し、今にも喰らおうと押さえ付けていた。
そんな少女を少年から引き剥がそうと、必死に少女を引っ張る女性の姿。
二人の母親、だろうか。

刀に手を添えて駆け寄ると同時に、私の目の前を理恵さんが通り越して行った。
彼女は母親の着物の首元を乱雑に引っ張り、少女の鬼から引き剥がした。
そして少女の鬼の頸を掴んで外へと引きずり出した。

今直ぐにでも家族の前で頸を落とそうとする理恵さんに、慌てて近寄る。

「待ってください!理恵さん!」

「……Aちゃん、どうして止めるの?
この子、鬼なんだよ?」

そう言って、理恵さんは少女の頸を絞める。
私は、少女の瞳から涙が流れているのを、見逃さなかった。

___自我がある。


「待って!お願い、殺さないで!
春子は何も悪くないの!帽子を被った奇妙な男とすれ違った時に、急におかしくなったの!
お願い…殺さないでッ…!」

帽子を被った奇妙な男__まさか、鬼舞辻…!?

「理恵さん、その子は鬼舞辻を目撃している可能性があります!
幸い、まだ自我も保っています。
拘束しましょう」

しかし彼女は刀を抜いて、少女の首元目掛けて振るおうとする。

それに勘づいた少女は理恵さんを蹴飛ばし、彼女から距離を取ろうと走り出そうとした。


その瞬間、理恵さんは再度力を込めて刀を振るう。

四→←二



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (556 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
791人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

rin - めっちゃ泣いた...... (2023年5月3日 19時) (レス) @page38 id: c3282cfa2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 素敵な作品をありがとうございました! (2022年1月4日 19時) (レス) id: 2a1788ef2b (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - あいさん» 確かに( ^_^ ;) (2020年10月25日 23時) (レス) id: c8ab14084f (このIDを非表示/違反報告)
  - あいさん» w (2020年6月28日 15時) (レス) id: f0c80c11c2 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか、鬼滅絡める必要ある? (2020年6月20日 15時) (レス) id: 9ae16e851a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Soleil | 作成日時:2019年9月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。