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「理恵、よくやったね」

お館様はそう言って、私の隣に座る理恵さんの方を見て微笑む。
私は何も言えず、また何も出来なかったことにされる。

「次こそは、お役に立てるよう励みます」

同じ言葉を繰り返す。
そしていつものように、部屋を後にした。


「Aちゃん、この後お茶でもどう?」

「…遠慮しておきます」

そう言って、軽く頭を下げて踵を返す。
手柄を横取りしておいて笑える彼女と、とてもじゃない共にいることなんて出来なかった。



一人、辺りが暗くなるのにも関わらず、庭でひたすらに竹刀を振るう。
私がどれだけ努力をしても、手柄は全て彼女のものになる。
努力をしたって報われない。
けれど私には、努力すること以外にどうしたらいいのか、分からなかった。

腕に痛みを感じ始めたと同時に、背後から声をかけられる。

「まだやっていたのか、風邪を引くぞ」

「…冨岡さん」

彼はそう言うと、私に近付き手に持っていた羽織りを肩にかけてくれる。
いつも無口で言葉足らずの彼の思いがけない行動に思わずまじまじと見つめかえしてしまう。

「どうした…俺の顔に何か付いているのか」

「い、いえ、そうではなくて。
冨岡さんがこんなことして下さるなんて少し珍しいなと思っただけです」

「俺だってこのくらいはする。
…身体が冷えるから早めに切り上げろよ」

「はい、ありがとうございます」

去って行く後ろ姿を眺めながら、冨岡さんだけはとられたくないと、無意識に思っている自分がいた。

三→←一



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rin - めっちゃ泣いた...... (2023年5月3日 19時) (レス) @page38 id: c3282cfa2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 素敵な作品をありがとうございました! (2022年1月4日 19時) (レス) id: 2a1788ef2b (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - あいさん» 確かに( ^_^ ;) (2020年10月25日 23時) (レス) id: c8ab14084f (このIDを非表示/違反報告)
  - あいさん» w (2020年6月28日 15時) (レス) id: f0c80c11c2 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか、鬼滅絡める必要ある? (2020年6月20日 15時) (レス) id: 9ae16e851a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Soleil | 作成日時:2019年9月25日 22時

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