そんなに私が嫌いですか【鬼滅の刃】 (ページ27)

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二十五ページ27

｢今晩わ。月の綺麗な夜ですね｣

｢………！｣

彼女の言葉に、鬼は少しだけ驚き振り返る。
だがその表情は直ぐに消え、そして余裕の笑みを浮かべる。

｢やっとこの日が来ましたね、貴女を食べられる、この日が｣

鬼は口角を上げ、悪戯っぽく嗤う。

｢ええ、やっとこの日が来ました、貴方を倒せる、この日が｣

鬼の言葉に、彼女はにっこりと笑って同じように返す。

｢あの日は驚きましたよ。

"私の腕を喰らわせることで、今は何とか空腹を抑えてください"

"その代わり、今後私以外の鬼殺隊員には一切手を出さないでください"

"私にはやるべき事があります。
此の儘、此処で貴方に喰われてしまえば街に私の血液が付着し迷惑を掛けてしまいます"

"全て終わった時、会いに来ましょう"

でしたよね。

けれど、貴女はあの醜女のせいで柱の皆さんに邪魔者扱いされているんですよね？
それを、手を出さないで、なんて。
なんと愚かな｣

鬼は面白可笑しく、ケタケタと嗤う。

その瞬間、鬼の右腕が落ちる。

そう、右腕が落ちたのだ。

｢……おやおや｣

鬼は後ろに飛んで彼女から距離を稼ぐ。
彼女はそんな鬼の様子を表情を一切変えずに見守り、笑顔のまま近付く。

｢例え、どれだけ嫌われていようとも

私にとって、

命より、大事な仲間ですから｣

そう言うと同時に、彼女は駆け出し左手で刀を持ち斬りかかる。

｢………ちっ…｣

だが"片腕のみ"の攻撃は完全に戦闘態勢となった鬼には全く通用せず、いとも簡単に躱されてしまう。
その後何度も刀を振り回せども、届かない。

｢……はぁ…はぁ…っ｣

｢…それで終わりですか？

血鬼術___音雨｣

鬼は笛を取り出し、彼女に対抗する。
その音は彼女の耳から全身に入り込み、激しい痛みの旋律を奏でる。

｢ああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁっ！！｣

彼女は喉が潰れてしまいそうな程激しく叫ぶ。

｢愚かですね、Aさん｣

｢かはっ……｣

胃液が噎せ返る程に全身に入り込んだ音にAの身体は耐えられない。
うつ伏せに倒れるAの頭を、鬼は力強く踏み付ける。

｢貴女は弱い、とても。
貴女一人と全鬼殺隊員、戦力は確実に後方の方が上です。何故こんなことを？
一人で私を殺して、それを好感度を取り戻す為に使うつもりですか？｣

｢………誰が｣

｢………？｣

｢…誰がお前だけ、死ぬと言った…？｣

｢……え？｣

Aの言葉と同時に鬼は

崩れゆく自身の身体に驚いていた。