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十九 回想 ページ21

…嗚呼、ごめんなさい泣いてしまって。
お見苦しい姿をお見せしましたね、申し訳ありません。


その後、彼女と理恵は瓜二つとなりました。
彼女達は他人です。そっくりですよね。
彼女が、偽物なんです。

彼女はその日から__自分の顔がなくなった日から、両親と理恵を恨むようになりました。
けれど、彼女は両親と理恵がいなければ、生きていくことが出来ません。
全ては、あの日身代わりになると約束した彼女の責任です。

彼女は苦痛を乗り越え、強くなりました。
理恵が身代わりに雑用を押し付けることに快感を得ても、両親からのあたりが酷くなっても、彼女は笑顔を絶やすことなくこなしました。

そして彼女は、最終選別を突破しました。
やっと鬼殺隊に入れる。
両親の仇がとれる。
__苦痛から、逃れることが出来る。

彼女は初めて嬉しいという感情を覚えました。



しかし、再び地獄が始まります。

「………今…何と……仰いましたか……?」

「貴方はもう、用なしよ。早く消えて頂戴。

理恵が、最終選別を突破したのよ。
明日から立派な鬼殺隊員だわ!」

理恵が最終選別を突破し、鬼殺隊に入隊したのです。


…いえ、彼女が最終選別を突破し、理恵が鬼殺隊に入隊したのです。


理恵が生まれ育った家は、先祖が鬼に殺された過去を持ち、昔から鬼殺隊に入隊するしきたり__嫌、"義務"のようなものがありました。
そしてその家の者が鬼殺隊に入隊した際は、その家の者であるということを確認する為の、本人確認、のようなものが行われます。

そこで聞かれるのは、正当な後継者しか知らぬ内容。
両親はそのことを知っており、理恵もそのことを知っておりました。


つまり


理恵は、必ず、鬼殺隊に入隊しなければなりませんでした。
しかし、理恵の実力では、最終選別で命を落としてしまうことは確実でした。


両親は愛娘__理恵の命に危険がある最終選別のみを突破させる為に、優しい罠で誘い込み、顔を変えさせ、完璧な"理恵"として育てた身代わり__彼女に突破させ、そして彼女の努力を踏みにじり、その成果を、愛娘である理恵に与え





身代わりを、捨てたのです。

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rin - めっちゃ泣いた...... (2023年5月3日 19時) (レス) @page38 id: c3282cfa2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 素敵な作品をありがとうございました! (2022年1月4日 19時) (レス) id: 2a1788ef2b (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - あいさん» 確かに( ^_^ ;) (2020年10月25日 23時) (レス) id: c8ab14084f (このIDを非表示/違反報告)
  - あいさん» w (2020年6月28日 15時) (レス) id: f0c80c11c2 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか、鬼滅絡める必要ある? (2020年6月20日 15時) (レス) id: 9ae16e851a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Soleil | 作成日時:2019年9月25日 22時

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