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「理恵さん、今日もAさんと任務ですよ」

ふわふわとした柔らかい声が耳に入る。
しのぶちゃんだ。
私は振り返って、彼女と目を合わせる。

「しのぶちゃん…私はAですよ」

「あらっ…Aさんでしたか。
これはすみません…嗚呼、先程言った通り、今日も理恵さんと任務ですよ」

「そうですか、ありがとうございます」

頭を下げ、そのまま走り去っていく彼女の後ろ姿を見つめる。

嗚呼…また、彼女か。



鬼殺隊の夢柱である、理恵さん。
お嬢様の、鬼殺隊員。
強く、優しく、キレイな女性。
愛想がいいと評判がよく、笑顔がとても良く似合う。

鬼殺隊の藤柱である、私。
平民の、鬼殺隊員。
弱く、無愛想な女。
愛想が悪いと散々言われ、笑顔が似合わないと言われる。


私達の顔は瓜二つ。
けれども理恵さんと私は、赤の他人。

鏡に映る私の顔は、今日も理恵さんだった。



「わー!素敵ね、この髪飾り」

「ええ、そうですね。理恵さんによくお似合いですよ」

淡々と彼女の喜ぶ言葉を並べ、口に出す毎日。

「今度、義勇さんに買って貰おうっと。
さ、行きましょう」

私が冨岡さんに惹かれていることを知った時から、必ず彼女の口からは彼の名が出るようになった。
二人が共にいるところを目撃すれば、悪戯っぽく口角をあげてこちらを見る彼女。
そんなに私のことが嫌いなのだろうか。
彼女の後ろを歩きながら、またそんなことを考えていた。



辺りはすっかり暗くなり、警戒して歩みを進める。

その時

「助けてっ!!!」

「…………っ!」

人の悲鳴が聞こえて、私は直ぐに走り出す。
真夜中、鬼に壁に追い詰められ、青ざめた顔をする女性の姿が直ぐに視界に入った。

藤の呼吸 一ノ型 藤舞

飛び上がって斬りかかる。
確実に頸を落とし、鬼の身体が消え始めると同時に着地する。

そして直ぐに

藤ノ呼吸 二ノ型 風藤

藤の花弁で女性の視界を奪い、彼女と場所を交代する。

「大丈夫ですか?」

「嗚呼…貴女が助けてくれたんですね!
ありがとうございます…!」


また今日も、私の手柄は彼女のものだった。

二→←零



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rin - めっちゃ泣いた...... (2023年5月3日 19時) (レス) @page38 id: c3282cfa2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 素敵な作品をありがとうございました! (2022年1月4日 19時) (レス) id: 2a1788ef2b (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - あいさん» 確かに( ^_^ ;) (2020年10月25日 23時) (レス) id: c8ab14084f (このIDを非表示/違反報告)
  - あいさん» w (2020年6月28日 15時) (レス) id: f0c80c11c2 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか、鬼滅絡める必要ある? (2020年6月20日 15時) (レス) id: 9ae16e851a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Soleil | 作成日時:2019年9月25日 22時

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