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十一 ページ13

「最終選別って二回も突破出来るものなのか?
まず何故二回も突破する必要があるのか、地味に分からねぇ」

直ぐにでもAに聞きたいところだが、生憎今は任務中である。
見付けた資料には、苗字とAの名前。
そして、見覚えのない女の写真に乱雑な字で書かれた走り書き。

A 最終選別 二回突破

以外の文字は何一つ書かれていなかった。
誰が残したものなのか、写真の女は誰なのか、偶然同じ名前というだけであってAではないのではないか、何て、らしくもなく考え事をしていると、前方に鬼の気配を感じ瞬時に刀を構える。

「……お前は…!」

「嗚呼…私をご存知なんですね。
初めまして、音柱の宇髄天元さん」

鬼殺隊が凶悪な鬼として長年追っていた存在。
あの鬼舞辻無惨の側近である

「藤堂紫月…!これは派手に驚いたな!」

藤堂紫月、その鬼であった。
彼は恐らく十二鬼月ではないが、柱一人では適わない程の戦闘力を持ち合わせている。
一度遭遇したことのある伊黒と甘露寺が大怪我を負って帰って来た程だ。

手分けして巡回していた為、俺は今一人だ。
だが怖気付くなんて派手に御免だ。

日輪刀を抜いて全速力で走った。





「おい、どう言うつもりだ」

「さぁ…ご自分で考えてみてはどうですか?」

紫月は凶悪な鬼どころか、こちらに「一切」攻撃をして来なかった。
ただひたすらに俺の攻撃を避けるのみ。

「地味過ぎて面白くねぇな、紫月さんよぉ!」

「あれ?もしかして宇髄さん、"彼女"から聞いていないんですか?」

「は?」

思いがけない言葉に手を止める。
そんな俺の様子を見て奴はニタリと嗤った。

「仲間思いの嫌われ者ですか、素敵ですね…。
嗚呼…"彼女"とまた会える日が楽しみです」

そう言って奴は、月の綺麗な夜空に消えた。




「そちらはどうだったか!」

「藤堂紫月に遭遇した。
が、奴は一切襲っちゃ来なかった」

「はァ?」

「襲っては…来なかった?」

柱二人がかりでも手に追えない程の鬼の行動としては、理解出来ないのも無理はないだろう。
だが今は、奴の行動の理由を探る時間などいらない。

「色々気になることはあるが、まずはAに会わねぇとな」



名を口にした訳でも
本人が自分だと言った訳でもない。

だが俺には、奴の言った"彼女"がAのことなのではないかと、ただ確信のない考えを追いかけていた。

十二→←十



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rin - めっちゃ泣いた...... (2023年5月3日 19時) (レス) @page38 id: c3282cfa2e (このIDを非表示/違反報告)
るる - 素敵な作品をありがとうございました! (2022年1月4日 19時) (レス) id: 2a1788ef2b (このIDを非表示/違反報告)
Soleil(プロフ) - あいさん» 確かに( ^_^ ;) (2020年10月25日 23時) (レス) id: c8ab14084f (このIDを非表示/違反報告)
  - あいさん» w (2020年6月28日 15時) (レス) id: f0c80c11c2 (このIDを非表示/違反報告)
あい - なんか、鬼滅絡める必要ある? (2020年6月20日 15時) (レス) id: 9ae16e851a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Soleil | 作成日時:2019年9月25日 22時

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