◎ ページ46
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「まだ、早いかな。」
ベンチの上で重ねていた手を紫耀の膝の上に移動させて、隙間がないくらいピッタリくっついた。くっついた分少し温かかった。風のやろう俺らの間を通れるもなら通ってみやがれ。
「俺はもっとね、もっともっと色んな人に知ってもらって、もう日本中どこ探しても俺たちの事知らないって人はいないくらい有名になってからがいいなって思う」
"そしたら俺たちのことを知ってる人が居ないところで、2人きりで生きよう。"
肩にコテンと頭を乗っけた。紫耀は何も言わなかった。代わりに俺は目を瞑った。紫耀が軽い冗談で言ったとは思えなかったさっきの表情が声がもう一度俺の頭の中で再生された。少しふわふわした頭から出てきた俺の紛れもない本音は、紫耀にどう届いただろうか。
周りからの目線を気にせずに自分のしたいこと話したいことを自由にさせてくれるこの場所は、ただの"平野紫耀"、ただの"高橋海人"として存在させてくれた。俺も口から出す程ではないが、2人きりで生きたいと思ったことがあった。一挙一動取り上げられるこの世界は20代前半の若者にとってはあまりにも疲れる場所だった。それでも、それ以上に俺たちが俺たちらしく輝ける場所でもあった。結局俺はこの世界にいる自分が好きだった。もちろん、隣の恋人もそれは自覚していた。
「帰ろ、紫耀」
「･･････」
「また来たいね、ここ」
「･･････」
「もし今日の決心が揺らぎそうになったら、ここに来よう」
肩に乗っけていた頭を元に戻して、笑いかけるように紫耀の顔を覗き込んだ。帰っておいで、紫耀。貴方を必要とする人は、この世界には沢山いるよ。もちろん、隣にいるこの俺も。
「･･･付いてきてくれてありがとう、海人」
「ふふ、連れてきてくれてありがとう」
「･･････帰ろっか」
立ち上がって俺の方を振り返ったその姿に、もう違和感は感じなかった。ちょっぴり泣きそうになった。本気でどっかに行っちゃうかもってどこかで思ってたのかも。
「、うんっ！」
そう抱きつけば、冷えた手が俺の頬に触れて、少しカサついた唇が重なった。
fin.
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うづこ(プロフ) - satsumaimo1995さん» satsumaimo1995ｻﾝはじめまして^^ わぁありがとうございます！続編は考えていませんでした(笑)検討してみます！ありがとうございます！ (2020年4月6日 22時) (
レス) id: f20b9b224c (このIDを非表示/違反報告)
satsumaimo1995(プロフ) - 初めて作品読ませていただきました！過去作も今から読みに行ってきます〜^^主演男優賞の世界の、部活引退した後とかの話読んでみたいです、復活するのかそのままなのか、はたまた別れた理由をカイちゃんが知っちゃうとか… これからも更新楽しみにしてます！ (2020年4月5日 20時) (レス) id: 0a8e78817c (このIDを非表示/違反報告)
うづこ(プロフ) - 音奈 きらりさん» きらりｻﾝはじめまして。私もすっかり昼夜逆転してしまいました(笑)。ほんとですか･･･ありがとうございます･･･。 (2020年3月30日 22時) (レス) id: f20b9b224c (このIDを非表示/違反報告)
音奈 きらり(プロフ) - コメントはじめまして。いつも読ませて頂いてます。今宵は、眠れずに徘徊中（単に昼寝しすぎただけ笑）です。えー！消さないで〜。短くてもまとまってるし、素敵ですよ。 (2020年3月30日 4時) (レス) id: ba403501a5 (このIDを非表示/違反報告)
うづこ(プロフ) - もこさん» もこｻﾝはじめまして^^ えぇ･･･！すごい励みになりますコメント下さりありがとうございます！頑張ります！ (2020年1月25日 20時) (レス) id: f20b9b224c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うづこ | 作成日時：2019年5月27日 2時
