◎ ページ30
.
頭の中をグルグル回したけど、最善策なんてわかんなかった。なんか今日はもう色々と考えすぎて疲れた。もう知らない。紫耀の好きなようにこの後を進めてよ。投げやりだ、投げやり。
不意に紫耀が顔をあげてバッチリ目が合った。目の辺りにあった手は、口元をおおっている。
「ま、じで嬉しいんだけど･･･、」
「っは？」
自分でもマヌケな声が出たと思う。でも重ねられた手が俺の頬に移動して優しく添えられ、真正面から目を捕らえられたら、もう、そんなこと気にする余裕はなかった。
だって紫耀が、物凄いカッコイイ顔で俺を見てる。気持ち頬が赤いその顔が、俺を。
「やっばり俺からも言わせて。」
「、しょお？」
反対の手も、俺の頬に添えられて両手で挟まれた。もう、この世界に俺と紫耀しか居ないんじゃないかなんて錯覚した。何か魔法をかけられたみたいに、その目を逸らす事ができない。
きっと、俺の頬は真っ赤だ。
「月が、綺麗ですね。」
そう言った彼の視線にはおそらく俺しか映っていなくて、俺の視線にはもちろん彼しか映っていない。
突然の事にぱちぱち、と瞬きをする事しかできない。少し冷静な自分が、からかわれてるんじゃないかとも思ったが、目の前の顔を見てその案は打ち消された。
きっと紫耀でも、演技で出来ないよ、こんな顔。
震える手を彼の両手に添えて、どう返すのが正解か分からず、結局また俺は小説家の言葉を借りた。
「･･･死んでも、いいわ」
知ってるのか知らないのかわかんないけど、彼はくしゃりと笑って俺を抱き寄せた。
ずびっと鼻をすする音が耳元でして、ようやく俺もちょびっとだけ実感が湧いて視界が揺れてきた。
夏目漱石は、日本人はストレートにそんな言葉を使わない、とILoveYouを綺麗な日本語に訳した。
でもさ？不器用でバカな俺たちはやっぱりストレートに伝える方がいい気がするだよね。
「紫耀、愛してる。」
ねぇほら、そう思わない？
fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 531人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うづこ(プロフ) - satsumaimo1995さん» satsumaimo1995ｻﾝはじめまして^^ わぁありがとうございます！続編は考えていませんでした(笑)検討してみます！ありがとうございます！ (2020年4月6日 22時) (
レス) id: f20b9b224c (このIDを非表示/違反報告)
satsumaimo1995(プロフ) - 初めて作品読ませていただきました！過去作も今から読みに行ってきます〜^^主演男優賞の世界の、部活引退した後とかの話読んでみたいです、復活するのかそのままなのか、はたまた別れた理由をカイちゃんが知っちゃうとか… これからも更新楽しみにしてます！ (2020年4月5日 20時) (レス) id: 0a8e78817c (このIDを非表示/違反報告)
うづこ(プロフ) - 音奈 きらりさん» きらりｻﾝはじめまして。私もすっかり昼夜逆転してしまいました(笑)。ほんとですか･･･ありがとうございます･･･。 (2020年3月30日 22時) (レス) id: f20b9b224c (このIDを非表示/違反報告)
音奈 きらり(プロフ) - コメントはじめまして。いつも読ませて頂いてます。今宵は、眠れずに徘徊中（単に昼寝しすぎただけ笑）です。えー！消さないで〜。短くてもまとまってるし、素敵ですよ。 (2020年3月30日 4時) (レス) id: ba403501a5 (このIDを非表示/違反報告)
うづこ(プロフ) - もこさん» もこｻﾝはじめまして^^ えぇ･･･！すごい励みになりますコメント下さりありがとうございます！頑張ります！ (2020年1月25日 20時) (レス) id: f20b9b224c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うづこ | 作成日時：2019年5月27日 2時
