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「…なにも、ないですって」
「なんだよ、言えないことか？」
言えるわけないじゃん
どうせ、なにを言っても今じゃもう遅いんでしょう？
あんな幸せそうに笑ってるオッパ
私、初めてみたよ？
オッパ。
ほんとに。
「…はぁ、」
深いため息をついたあと椅子へ座り、頭をかくオッパ
頭をかいたときは困ってる時、だったよね。
そんな癖があるのを知ってるのも私だけだったのに。
「A」
下を向いたまま、弱ったような声がした
「……」
「…A、おいで」
顔をあげたと思えば、目が少し赤いよオッパ。
そんな、優しい声で私を呼ばないで。
離れられないよ。
やめて。
オッパのところに行きたい。でもだめ。
オッパにはもう、あの綺麗な女性が…
向かいたいという思いと反対に重たい足を後ずさりする
「A、どうしたんだよ。ずっと泣きそうな顔すんなよ
パボ
俺から逃げんな」
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作者名：sei | 作成日時：2016年10月6日 0時
